新しい出逢い
それどころか、以前よりも元気になったと喜んでいたほどだった。
その様子を見ていた俺は感動していたんだよ。
こんなに大勢の人が笑顔でいられることが何よりも嬉しかったからだ。
そんな時だった、聖女さんからこんなことを言われたんですよ。
それは、俺のこれまでの冒険についての話や、これからどうしたいのか、などについて聞かれました。
正直に言うと、特に目的とかはないんですよね。
強いて言うならこの世界を旅して回りたいっていう気持ちはあるけど、具体的な目標がないというか、何したらいいのかわかんないんですよね、
なんて答えたらいいかわからないでいたら、彼女が提案してくれたんです。
「それなら、私たちの仲間になりませんか?」
って言ってくれたので、喜んで引き受けることにしたんですよ。
それからというもの、俺たちの旅は順調に進んでいったわけなのだが、その中で色々な出来事があって、どれも楽しい思い出ばかりだったなぁと思う。
例えば、最初の方に出会った、盗賊退治の時なんかは特に大変だったなー。何しろ相手が凄腕揃いだったからね、
流石の俺も苦戦しちゃったんだけど、そこで助けてくれたのが、あの大勇者だったんだ。
あの時はマジでヤバかったんだよね。
もう駄目かもって思った瞬間に颯爽と現れた彼が瞬く間に敵をやっつけてくれた時は、思わず惚れちゃったもんな、
それから彼と行動を共にすることが増えていったんだけど、彼の仲間たちとも仲良くなってね。
みんなで一緒に冒険するのが楽しかったな。
それから、ある時、俺たちが立ち寄った村で疫病が流行った時に、
俺が作った薬のおかげでみんなを助けることが出来たんだよね。
その時の村人の喜びようといったらすごかったなあ、みんな涙を流しながら感謝してくれてさ。
それを見ていたらなんだかこっちまで泣けてきちゃってさ、
そしたらみんなが慰めてくれて、最後はみんなで抱き合って喜んだんだ。
本当に最高だったな、あの時のことは今でも忘れられない思い出の一つだよ。
そして、俺たちは次なる目的地へと向かうことになったんだ。
今度はどんな出会いがあるんだろう、楽しみで仕方がなかったんだよな。
それでさ、次の目的地はどんなところなんだろうかと思っていたんだけど、到着した場所を見た瞬間、俺は言葉を失ってしまったよ。
「ここは一体どこなんだ!?」
と叫びたくなるほどの光景が目の前に広がっていたんだからさ、
そりゃあ驚くのも無理はないよな?
だって、そこは辺り一面砂だらけの砂漠地帯だったからだ。
しかも、気温もかなり高くて、かなり蒸し暑い感じだったから、余計に不快指数が上がった気がするんだよな、
でも、そんな中でも、俺たち一行は進んでいくしかなかったわけで、とにかく先を急ぐことにしたんだが、
道中で出会ったモンスターたちがやたらと強くて、手こずってしまったり、道に迷ってしまったりと色々トラブルもあったけど、
なんとか乗り越えることができたんだ。
まあ、一番苦労したのはやっぱりあれかな、
水不足が一番つらかったかもしれない。
「くそぉー、喉が渇いたぞ、このままだと干上がってしまうじゃないか」
と心の中で叫びながら必死になって水をかき集めている俺だったが、なかなか思うように集まらず困っているところに、
聖女さんが救いの手を差し伸べてくれまして、彼女の魔法で大量の水を作り出すことに成功したわけですよ。
本当に助かりましたよ。
おかげで何とか命拾いすることができましたね。
その後も何度か危ない場面があったんですが、その度に彼女に助けられていましたし、何より、彼女がいてくれたからこそ、ここまでやってこれたんだと思います。
だから彼女にはすごく感謝しているんです。
これからもずっと一緒にいて欲しいと思ってますしね。
そんなわけで、彼女との旅は本当に楽しいものでした。
「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね、私はアイリスといいます、よろしくお願いしますね」
そう言って微笑む彼女を見ていると、自然と心が安らいでいくような気がするんだ。
そんな彼女に見惚れていると、突然後ろから声をかけられたのである。振り返るとそこには見知らぬ男性が立っていたのだ。
彼は一体誰なんだろうと思っていると、その人はこう言ってきたのだ。
「やあ、初めまして、僕は魔王と呼ばれている者だ、よろしくね!」
と言って握手を求めてきたので、それに応えるようにこちらも手を出して握り返したのだった。
すると、何故か不思議そうな顔をされてしまった。
何故だろうと思っていたら、その理由はすぐに判明したのだ。
「どうして君がここにいるんだい?」
と言われてしまったからである。
どうやら俺のことを知っている様子だったので尋ねてみると、彼はこう言ったのだ。
それを聞いた瞬間、俺は驚愕してしまった。
何故なら、目の前にいる人物がかつての仲間であり、かつての敵でもあったのだから当然の反応と言えるだろう。
そんなことを考えているうちに、さらに追い打ちをかけるように衝撃的な言葉が飛び出してきたのである。
それは、
「君に一つ聞きたいことがあるんだ、君はなぜ生きているんだい?」
という言葉だった。
その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になってしまった。