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治療

「お前らいい加減にしろ! 嫌がってる女を寄って集って襲うんじゃない!」
と一喝すると、男たち全員の殺気立った目が俺に向けられていたのですが、構わずに続けて言ったんです。
そうすると男の一人が近づいてきて、突然胸ぐらを掴んできたので、俺も負けじと睨み返すと、
さらにもう一人の男が拳を向けて殴りかかってきた。
それをかわした俺は、反撃とばかりに拳を振りかざしたんだが、そこで背後から声が聞こえてきたため手を止めることにしたんですよ。
振り返ってみるとそこに立っていたのはあの有名な大勇者でして、 彼が来たということはもう勝ったも同然だろうと思い安堵した瞬間、
なんと彼の後ろには別の人影があるじゃありませんか?
しかも、それが女性だったので驚いてしまいました。
というのも、その女性は綺麗な顔立ちをした美女だったからですよ。
一体誰なんだろうと思っていたら、彼女が自己紹介を始めてくれたんだ。
彼女はどうやら聖女と呼ばれているらしく、回復系魔法や防御系の魔法を使うことができるそうだそうなんですよ。
なので、彼女が味方になってくれたのは非常に心強くて、とてもありがたいことだったんですけどね。
ただ、問題もありましたよね。
それは、彼女と俺との関係です。
なんと、彼女はかつて俺を追放 そして、そんなやり取りをしていたらいつの間にか馬車が動き出していて、
俺たちは王都に向けて旅を続ける事になったのでありました。
それにしても、まさかこの歳になってこんな体験をする事になるとは思っても見なかったな〜などと考えながらも馬車は進んでいく。
途中休憩を挟みながらではあるが、基本的には走りっぱなしで目的地を目指すこと2日目の夜を迎える頃になっていたのである。
そして、ようやく到着したわけであるが、 しかし、そこで見たものは想像とは全く違うものであったのである。
そこには、ボロボロになった村らしきものが存在しているだけであったのだ。
どうやら、最近流行り始めた流行病が猛威を振るっているようで、多くの住民が倒れて苦しんでいる様子であった。
しかも、その中には俺の知り合いの姿もあった。
それはかつての仲間たちの一人で、俺と同じく追放された男だったんです。
彼もまた俺と同じように追放されて、冒険者として頑張っていたのだけれども、
やはり限界を迎えてしまったのでしょうね〜まあ当然といえば当然だと思いますよ、
だってこの村は王都からも遠く離れているし、近くに集落もないし、そもそもこの辺り一帯の環境はかなり悪いですからね。
そう語るロランさんの話を聞いていると、本当にこの人たちが味方でよかったと思わされてなりませんよ。
なにせ、もし敵だったらと思うとゾっとするからです。
それにしても、この状態でどうやって救えって言うんですかね。
もう打つ手なしって感じなんですけど、どうしたらいいんだろうかと考えつつ途方に暮れていた俺だったのだが、
ロランさんは、 何やら考えがあったみたいで俺にこう言ってきたのです。
「君、この村の人たちを救うためには君の力が必要なんだよ!」
と言って俺の手を握りしめた彼はそのまま村の中に入っていきました。
もちろん俺もついていったわけなんだけど、そしたら村人たちが一斉に集まってきたので、何事かと思っていたんですよ。
そうしたら彼らが一斉に頭を下げてきて、
「お願いします、私たち家族を救ってください、お礼ならなんでも致します、
だから、どうか助けてください」
という声が聞こえてきたのです。
まさかそんなことを言われるとは思ってもおらず驚きのあまり何も言えなかったんですけど、とりあえず事情を聞いてみることにしました。
どうやらこの辺り一帯が病んでいることはすでにわかっていたらしいんですが、その対処方法がわからなかったらしく、
ずっと悩んでいたそうなんです。
しかしある日、俺がこの村に立ち寄ったことがわかって以来、藁にもすがる思いで待っていたそうでして、
俺が来ることを願っていたそうです。
「お願いします、私たち家族を助けてくれるのであれば、何でも致しますので、どうかお願いします」
そんな彼らの願いを聞かないわけにはいかないと思い、俺もまた彼らを助けるために全力を振り絞ることを決意したんだ。
そうすると俺の言葉を聞いた彼らもまた、希望に満ちた表情を見せてくれていた。
その笑顔が俺に力を与えてくれるんだ。
そして、それから数日間、村の中で病に冒された人々を治療する日々が続いた。
俺は聖女さんの力を借りて、村の人たちを癒していったのだ。
最初は抵抗があった村人たちだけど、徐々に信頼関係が生まれていって今では俺を頼ってくれるまでに変わってくれたのだ。
それはとても嬉しいことでもあった。
だからこそ彼らの期待に応えるべく、必死に戦った。
しかし、そう簡単にいくものでもなく、薬の量も限られており、日に日に症状の重さを増していく村人たちを見て、
俺は絶望感に打ちひしがれていたが、それでも諦めず頑張っていたところ、ある人物が俺にある助言をくれたんだ。
そのおかげでようやく解決策を見つけ出せたんですよ。
それは、なんと、俺の職業である賢者のスキルだったんです。
賢者の能力は、 あらゆる病気に対する特効薬を作成することができますからねー、
これを使えば、村を救えるという確信を持って、治療を続けていった。
そんな時でしたね、聖女からこんな言葉を聞かされたのです。
それは、彼女が言う通り、病に倒れた人々の中にはまだ回復の兆しを見せない人々がいるという事と、
この村には医者がいないということ、更にはその治療法が確立できていないという事です。
そしてもう一つあるんです!
「この病を治療出来る、ただ1人の人物は貴方です」
という、その言葉に思わず胸が熱くなってしまった。
だが、それでもまだ救わねばならない患者が何人かいるのだが、俺は聖女からの言葉を信じて
村の人たち全員を救うことにしたのです。
そうして、その日から数日間の間俺は寝る暇すら惜しんで、治療と研究に取り組んでいったんですよ。
その結果、ようやく完成させることは出来たんですが、その薬をどうやって彼らに飲ませるのかという問題が残っていた。
そんな時、聖女が俺に一つの方法を教えてくれたんです。
それは、
「私の祈りの力を送り込めばいいのではないでしょうか?」
という事だったんだが、それしか方法は無かったので、早速試してみることにしたのだが、
その結果はとても素晴らしいものだった。
村人たちが一人も欠けることなく、病気を完治させることが出来たのだ。

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