生まれ変わり
「あの子、目があいつとそっくりなの、きっとあいつの生まれ変わりなんだわ。私たちに復讐するために生まれ変わったに違いないわ」
「おいおい、生まれ変わりなんてあるわけないだろ」
「でも、あの子、他の幼稚園の子と違って、すごく大人しいのよ。普通の子なら、まだまだ泣いて騒いだりする年頃なのに」
「いいじゃないか、保育園の先生にも手間のかからないいい子だって言われてるんだろ」
「だから、おかしいって言ってるの。もういい、私一人でやるから」
「ひとりでやるって、何を?」
「もちろん、あの子を殺すのよ」
「おい、ばか、お前、俺たちの実の子だぞ」
「実の子だから、今のうちに殺すのよ」
「おい、何持ち出してるんだ」
「は、離して、私たちの幸せのためよ」
「よせ!」
「うっ、あなたなにを」
「お前は正気じゃない、実の子を殺そうとするんて」
「だから、私を刺したの? あなたの方こそ、正気じゃないわ、あの子を生かしておいたら、あなたも破滅するわよ」
「俺には、お前が生きている方が破滅しそうに思えるよ」
「ま、私を刺したんだから、あなたの人生は終わりよね」
「あいつみたいにうまく埋めるさ、俺は生まれ変わりなんて信じてないから、生まれ変わってきて、俺に復讐しに来いよ」
「その言葉、忘れないでよ、うっ・・・」
「やっと死んだか・・・、ん、お前、じっと見てたのか、子供は寝る時間だぞ」
「父さんこそ、母さんの言葉信じた方が良かったんじゃないの。僕、家中に灯油まいといたんだけど」
「灯油?」
「まさか、子供が親を放火で殺すなんて世間は思わないだろうし、まず、母さんを刺したのは父さんだから、警察は父親が、家族を巻き込んで無理心中を図り、子供だけ奇跡的に助かったと結論付けるのは、どう?」
「お、お前・・・」
「じゃ、さようなら、お父さん」