体温認証
感染者と健常者を区分するため、政府は、主要駅の改札や公共施設の入り口などに人間の体温を感知するカメラを設置することを義務付けた。
そして、俺がその自動改札を通ろうとしたしとき、ピコンと鳴ってドアが閉じ、待機していた警官がワラワラと集まり、その自動改札にひっかった俺を囲み強引に改札から俺を駅の駐車場の方に連れて行った。
「お、おい、待てよ、俺に、熱なんてないよ、家を出るときにちゃんと計ったんだ、俺は平熱だ」
「黙れ、おとなしく、しろ」
警官たちは高圧的で、俺を駅の駐車場に止めてあった護送車らしき車に乗せようとした。
数的に不利であるし、一般市民が警官に逆らえるものでもない。
俺は渋々、その護送車に乗った。ちゃんと医者に診てもらえば、俺が感染していないと分かるだろう、それまでの我慢だと思ったが、護送車には先客がいて、明らかに顔が赤く体調が異常だった。
おい、待てよ。このままこの護送車に乗せられていたら、今は感染していなくても俺も感染するんじゃないか。
案の定、その護送車に美せられて、俺はもう二度と外に出れなくなった。