「誰か助けて!」
『誰か助けて!』というメールが彼女の友人知人に一斉に送信された。
あれから四年後。
彼女の行方は今だ分からず、刑事が俺のところに尋ねに来たりしたが、俺は何も知らないで通した。友人からは恋人がいなくなったのに「ひどく冷静ね、冷たくない?」と揶揄されたりもしたが、俺は何も知らないと友人知人にも話した。
何しろ、彼女を殺し、遺体を処理したのはこの俺だから、下手に動揺して、警察などに勘繰られたくなくて、俺は何も知らないふりを続けた。ただ、あのメールが送信されたのは、俺が彼女の遺体を完璧に処理した三日後で、まさか死者からのメールだと言うのか。それとも、俺の犯行を知っている第三者のいやがらせかと、内心で怯えつつ、俺は、俺の犯行に気づいてそのメールを出していそうな友人知人を一人づつ、この四年で何人か行方不明にしていた。だが、一人行方不明にするたびに、必ず『誰か助けて!』というメールが送信された。