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文字の大きさ

文字化け

いきなりおくられてきたそのメールは、文字化けしていて、添付されていた画像も、真っ赤で意味不明のメールだった。送られてきたメアドも心当たりがなく、詐欺目的の迷惑メールなら、文字化けして読めないようなメールを送って来るはずもない。しかも、何かのウイルスに感染したのか、スマフォでネットのどのページを開いても文字化けしていて判読不能になっていた。
「なんだ、これ?」
正直、意味が分からず、首を傾げた。で、すぐに、携帯ショップにいって、
そのスマフォを見せたが、店員は正常ですと言って俺を怪訝そうに見た。そんな馬鹿なと食い下がろうとしたが、その店員の顔の配置が、微妙におかしい、目と鼻の位置が福笑いのように微妙にずれていた。俺は気持ち悪くなり、早々に店を出た。スマフォの画面を見るとやはり文字化けしていて読めない。
そして、俺は気が付いた。すれ違う人々の顔も、あのショップ店員のようにずれていた。中には口のところに目があり、目の代わりに耳があったりと、パーツはそろっているのだが、配置が滅茶苦茶な化け物だらけだった。
やばいと感じ、自宅に急いで帰ることにした。すると、手を振って一匹の顔の配置がおかしい化け物が俺に寄ってきた。顔の配置だけでなく、その声もなんだか、俺には聞き取りにくい妙なノイズ交じりのような変な奇声を発しながら寄って来るので、思わず俺は逃げた。逃げたのだが、その化け物は俺の住んでいるアパートを知っているらしく、確実に追ってきた。で、先にアパートの自室に逃げ込むと台所の包丁を手に部屋の隅で身構えた。さすがに部屋の中にまで追ってこないだろうと思っていたのだが、化け物はガチャガチャと部屋のドアを壊し侵入してきたので、仕方なく、俺は包丁を手に反撃に出た。
その後、警察に捕まるころには、俺も冷静になり、合鍵でドアを開けて入ってきただけの俺の彼女を化け物と思い刺してしまったと気づいた。だが気づいても俺には、相変わらず警察官も裁判官も化け物に見えたが、俺の発する声も相手に届かず、精神異常扱いで特別な病院に収監された。

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