人類滅亡
目を開けると、そこにはツルツルとした金属的な壁や天井があった。少なくとも俺の部屋ではない。壁の一面だけがガラス張りになっていて、その向こうに人影が見えた。人間に似ているが、複眼だったり、昆虫のような触角を彼らは持っていた。
ハリウッド映画に出て来る特殊メイクされた宇宙人のようだ。その中の比較的人間に近い、金色の目をした女性と目が合い、その女性が、その中で一番偉そうな一つ目の大男に声をかける。
「ん? 目が覚めたかね」
マイクらしきものを通してこちら側に話しかけてくる。異星人の翻訳機を通しているのだろうか。口の動きと聞こえてくる音声にずれを感じる。
「ここはどこだ、あんたらは何者だ」
当然の質問をした。すると、あっさり向こうは答えた。
「ここは宇宙船の中だ。我々は、この銀河の絶滅危惧種を保護している団体だ」
「絶滅危惧種? 地球人は地球に何十億といるだろ?」
「我々の予測では、この数年のうちにすべて絶滅すると予想している。で、絶滅する前にわずかでも保護することにしたのだ」
「保護?」
俺は最初、うさん臭いと思ったが、実際に数年後、地球上で細菌兵器による大規模テロが起き、俺のように地球外に連れ出された者以外、死滅した。