バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

勝利の美酒

「どうしたんです、素直に勝利の美酒に酔えばいいのですよ?」
「勝利の美酒だと! あいつは俺の親友だったんだぞ、それが選手生命を絶たれるかもしれない大けがを負ったときに、勝利に酔えだと、そんな気分になれるかっ!」
「あなたは勝ったのです、たとえ悪魔の力を借りたとはいえ、人間に分かる不正はありません。あなたは勝者です」
「クソッたれ」
俺は、翌日自殺した。数年後、怪我を克服した俺の親友が、王者として君臨していた。彼は言う「昔、俺が弱かったせいで、親友に心配をかけて自殺に追い込んだ。あいつは、昔から優しすぎたから、きっと自分を責めたんだろう。だから俺は、あいつの分まで強くなると決めたんだ」と。

しおり