バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

最後の食料

「食料がなくなったの? 本当?」
「ちょ、ちょっと、待ってよ、私にあなたを食べろって言うの?」
「確かに、生きるためにお父さんやお母さんの死体を食べたわ。でも、あなたは、まだ生きてるじゃない。私の両親は、この気候の変化に耐え切れずに死んだから、もったいないから食べただけよ」
「やめて、自殺なんて。そんなことされて、喜んで私が食べると思うの?」
「生きていてほしいって、私だって、あなたに生きていてほしいわよ」
「私が、この殺伐とした光景を撮っているのは、将来、地球がもとに戻った時、こんな時代を乗り越えたと、後世に、私とあなたの子孫に伝えるためよ」
「そうよ、私とあなたの子孫に伝えたいのよ。この意味、分かるでしょ」

しおり