後悔先に立たず
なぜ、こうなった。今年に入っての急速な異常気象、水や食料不足など、世界的規模の飢餓が伝染病のように蔓延していた。秒単位で地球の人口が減っていた。
地球上の多くの有能な科学者がアメリカ大統領の号令の元、ワシントンに集められ議論を重ねていた。だが、人類衰退の根本的な原因は分からず、もはや異常気象も食糧危機を乗り越えるすべはないと科学者たちはあきらめムードに陥っていた。そして、少しでも人類が生き残る方法はないかという後ろ向きな議論に移っていた。人類は、どこで人類存続に必要なものを無くしてしまったのか。ジャーナリストとして科学者たちの議論を眺めながら、「後悔先に立たず」という諺が日系人の俺の頭には浮かんでいた。