古い神社
その住宅街の真ん中に、こんもりと小山があり、その山の頂上には古い神社があった。だが、行政は、その山を削り、町の再開発を決定した。古くから住む人たちは祭りを行い親しみ古くから馴染みのある神社を壊すことを反対したが、市の担当者は壊すのではなく、近くに新しく神社を建立するからと言って計画を推し進めて、整地が終わって新しい住宅地ができた。
それから数年後、大型台風の直撃を受け、その近くの川の堤防が決壊し、その地域に甚大な被害と犠牲者を出した。
後で分かったことだが、その辺りは昔から洪水の被害が多く、その小山の神社は昔から、洪水等の水害に際して周辺の村人たちが、いざというときの高台の避難場所として使ってきたという歴史をつづった古文書が発見され、水害時の避難場所になる神社をなくした市のやりように市民からの批判の声が上がり、その都市計画の担当者が、ほどなく神罰に当たったような謎の不審死を遂げた。