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第十九話☆悩みは尽きないものですね……

皆でワイワイ朝まで話した翌日
私は携帯の着信音で目が覚めた。

ディスプレイには"琴羽"と表示されていた。
皆を起こさない様に気をつけながら
リビングに行き、通話ボタンを押した。

『久しぶり』

最近、琴羽が忙しくて中々、連絡が取れなかったから
こんな朝早くら電話してくるなんて珍しい。

「朝からいきなりごめんね……」

心なしか、琴羽の声が沈んでる気がする。

何か心配だ……

『おはよう、どうしたの?』

キッチンで紅茶をいれながら琴羽の話しを聴く。

「あのね……」
と話し出した琴羽は職場で一悶着あったらしい。

『ねぇ琴羽、今から出てこれない?』

皆はまだ起きて来ない。

後でメールすれば大丈夫だろう。

「わかった、今からそっちに行くね」

待ち合わせを十時にして私は皆を起こさない様に
部屋に行き、出掛ける準備をした。

小さな声で行ってきますと言って家を出た。

秋の早朝は結構冷える。

待ち合わせ場所は近くのファーストフード。

先に着いた私はホット紅茶とポテトを頼んだ。

そのに二十分後琴羽がやって来た。

『おはよ』

電話で言った言葉を直接会ったからもう一度言った。

「おはよ……」

やっぱり、声に覇気がない。

『早速、本題に入ろう』

電話より詳しく聴くために此処に来たのだから。

「私ね半年前まで彼氏が居たんだ……」

琴羽の話しは意外と長かった。

その彼氏が二股を掛けていてデートの最中
その相手に遭遇し浮気が発覚……

その場で浮気相手と二人でフッたというものだった。

「華蓮、話し聞いてくれてありがとうね」

話したことでスッキリしたのか
会った時より顔が明るい。

『全然いいって』

終わった話しでも心にモヤモヤが残っていれば
誰かに聴いて欲しい時もある。

『また、なにかあったら電話でもメールでもして』

他の話しも少しした後、二人で店を出た。

「じゃあね」

駅に着き、琴羽が手を振って階段を登るのを見送った。

最後に笑ってくれたからよしとしとこう。

『ただいま』

あれから二時間、皆起きてるのは分かっている。

『お帰り』

真っ先に玄関に来たのはマー君だった。

『ちょっと出掛けてくるね
って何処に行ってたんだ?』

心配そうなマー君にさっきまで居た
ファーストフード店の袋を渡した。

店を出た時、十一時だったから朝昼兼ねて買って来た。

『適当に買って来たら好きなもの選んでね』

私は洗面所に行き手洗いうがいをして
部屋に戻り着替えリビングに戻った。

マー君と絢菜のは好みを知っるけど、他の皆は知らない。

そんな久しぶりにファーストフードを食べた
三日後、今度は理香から電話が来た。

この日は、特に何かしてたわけじゃなく
昼間からマー君と一緒に家でのんびりと映画を見ていた。

『おい華蓮、携帯鳴ってるぞ』

ソファーに置きっぱなしだったから映画を一時停止して立ち上がった。

『理香、どうしたの?』

三日前の琴羽とは違い泣いているみたいだ。

内心焦る……

ただ事じゃないと感づいたのか、マー君が口パクで「どうした?」と言った。

それに、答える様に私も口パクで理香の様子が可笑しいことを伝えた。

『家に呼べ』

頷き、電話越しに理香に伝えた。

一時間後、理香が来た。

『いらっしゃい』

「お邪魔します」

弱々しい声で挨拶の言葉を述べた。

座った理香の前に緑茶とクッキーを置いた。

『食べてね』

話しを聞くのは少し落ち着いてからの方がいい。

理香が来てから更に一時間後、私たちが聴く前に口を開いた。

「華蓮、佐川さん私の話し聞いてほしいんだ」

それは勿論、聴くに決まっている。

『何でも話して』

理香の向かい側に座った。

聞く態勢は整っているんだけれど、とても言いにくそうだ。

一度私たちをチラッと見て、やっと話し出した。

「最近、パパ達が喧嘩することが
増えて、離婚するとか言い出したんだ……」

だから、さっきの電話でも元気がなかったのか。

「私だって、二十歳過ぎてるしそんなことでって
思うんだけどあんなに仲の良かった
パパ達が離婚なんて信じられないし、
どっちに付いていくかなんて考えられないよ」

泣きそうなのを耐えながら話しを続ける。

『泣きたい時は我慢しないでいいんだよ』

理香の隣に行き、抱きしめた。

『お茶、いれなおすな』

マー君が私たちのカップと急須を持ってキッチンに行った。

『二人が喧嘩してる所初めて見たの?』

理香は小さく頷いた。

それはショックだよね。

きっと、理香の知らない所で
二人は前々から喧嘩していたのかも知れない。

「ありがとう」

三十分後、泣き止んで落ち着いた理香が
最初に言った言葉はそれだった。

『どういたしまして』

マー君がいれなおしてくれたお茶もすっかり
冷めてしまったので
今度は私がいれなおした。

『理香、今日泊まって行きなよ』

今の状況で家に帰っても辛いだけだと思う。

「いいの?」

遠慮がちに聴く理香に
「当たり前でしょ」と言って手を握った。

さて、夕飯は何にするかな?

『理香、何が食べたい?』

沢山泣いたからきっとお腹空いてるだろう。

「え?え?いいよ……」

言うと思った。

『遠慮すんな』

私が言うより先にマー君に言われてしまった。

『そうだよ、遠慮はなし』

まぁ、大抵は同じ考えだからいいんだけどね。

「じゃぁ、シチューがいい」

これはまた、安上がりだね……

『そんな簡単な物でいいの?』

聞き返すと黙って頷いた。

理香がいいなら別にいいんだけどね。

最近、寒くなったし温かい物を作ろうとは
思ってたけどちょっと意外かも。

『入れて欲しい具とかある?』

今日のは、理香のために
作るんだから本人の意見をきちんと聞かなきゃね。

「鶏肉のお団子と白菜」

さっきので遠慮がなくなったみたいでよかった。

『了解』

えっと、鶏肉あったかな?

冷凍庫を探る。

おっ、あったあった。

今から出せば、解凍されるよね……?

『マー君、理香の傍に居てあげてね』

落ち着いたとはいえまだまだ、心は不安定だ。

私は料理するから傍に居てあげられない。

『はいよ』

二人でテレビを見出したのを確認して
キッチンに立ち調理を始めた。

理香の要望通り、鶏団子と白菜を入れ
そこに、きのこ類も入れた。

『理香、どう?』

マー君の感想より先に聞きたかった。

「美味しい」

よかった……

『俺も美味いと思うよ』

マー君の感想は聞いてない(笑)

食べ終わって、お風呂に入り明日学校に行くと
言った理香のために早く寝ることにした。

私は意外と心配性だから客室と寝室ではなく、
リビングに布団を敷いて理香が真ん中で
マー君と私で挟む様な感じで寝ることになった。

『おやすみ』

翌朝、こんなに早く起きたのは
久しぶりだったけど、なんとか起きれた。

『よし』

二人が起きる前に、お弁当と朝食の用意をする。

「華蓮、おはよう」

一時間後、二人が起きた。

『おはよう、朝ご飯出来てるよ』

三人でいただきますと言って食べた後、
出掛ける二人にお弁当を渡して玄関で見送った。

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