Friend 11 いろづけたい
湖で夜を過ごし、朝が來る。
この朝の氣分、風が吹くよう。
青龍の湖で見つけた水の結晶を、緑緑した街に持ち帰る。
少年:
これが、水の結晶・・・
みみ:
あの庭で埋め込んではいけない。あの彫刻をどこかに持ち運ばないと。
ぽみ:
あんなところで水なんて出たら大混乱よw
あみ:
あの審判様、あの彫刻が、心の通じ合う者が寄せ合う姿だとか言ってた・・・
例のぐねぐねした彫刻の話をしている。
少年:
あんなでかいものを運べるのといえば・・・
【緑緑した街・作業場】
あるところに、水の結晶の使用について相談に行っている。
巨熊:
ならん!そんな軽い氣持ちであれを使わせられるか!
ぽみ:
そんな〜・・・
あみ:
そういうこともあるよ。
巨熊:
まあいずれは使うことになるか。これはわしが預かる。
水の結晶は作業場の巨熊に預けられた。
少年:
いずれ・・・か。
巨熊:
しかしまあ、異世界のヒトが迷い込んでくるなど、見てられぬわw
みみ:
あんなこと言ってる。
あみ:
いいじゃん!そういう世界なんだから。
ぽみ:
行こ!行こ!
【緑緑した街・どこか】
ぽみたちは外に出て適当なところを漂う。
少年:
朴みたいなのって、嫌われることもあるんだね・・・
ふみ:
言ったしょ?受け入れられるかどうか分からぬと。
少年:
元の世界のバカ騒ぎと比べればマシだよ・・・
あみ:
そんなもん?
ぽみ:
それより〜、ちょっと他の遊びしない?
少年:
他の遊びって?
ぽみ:
ふみ、藥草できるでしょ。ぽ兄ちゃんにも教えてあげたら?
ふみ:
ヒトの世界にある藥草と同じものもあるからね。いい機会よ。
少年:
どこへ行こう?
ふみ:
いくつかあるけど、ここからあっちにある、ハーブの香りがする村は、いい場所かもしれないよ。うちも、たまにそこに行く。
少年:
それじゃ、明日行く!
ふみ:
わかった。まずはレイさんのところへ・・・
【レイの部屋】
レイ:
あの村ですか。では、長にメッセージを送ります。
レイは触角からテレパシーを送れるようだ。
少年:
どこにでも繋がるんだね・・・
ふみ:
レイの紹介と言えば入らせてくれるよ。
ぽみ:
どこへでも行く〜!
みみ:
けど結局また暗い森・・・?
あみ:
兄貴はそんな試練には屈しないよ☆
レイ:
伝わりました。いいとのことです。それと、この布。わたしから、長へ。お願いします。
ふみ:
任せな!
ぽみ:
それじゃ、今日は自由行動よ!
レイの部屋で一晩過ごし、ふみが紹介している村へ向かう。
【村への道】
この朝の氣分、温かい。
少し上り坂になっている道を行く。草木が豊かな道だ。
少年:
登っていく・・・川が流れてきてるんだね。
ふみ:
水もいいところさ♪
村へ續く道を行けば・・・当然の如く、また暗い森が待っていた。
少年:
また森だ・・・
ぽみ:
分かってる。行くよ・・・
【トゲトゲした裁きの森】
他と違い、かなりトゲトゲしている森だ。少しでもふらつくとケガしかねない?
少年は、森で何かが起きること自體は分かっていた。また大樹の審判が現れ、試練とやらとして何か仕掛けてくるのである、と。
みみ:
まあ、どこにでもある。
あみ:
行くしかないよ。
少年:
なんか、初めからそのつもりで用意されてるような・・・
ぽみ:
ってあれ?なんか辺りが黒くない?
少年:
あれ?なんかここ白っぽい!
ふみ:
來たな!
あみ:
何これ!辺りが線になってる!
その通り、この森が、辺りの景色から色が抜けて線画のようになってしまっている。
少年:
何だこれ〜!
ぽみ:
また何か仕掛けてくるよ!
みみ:
どうしろと言うのか。
ふみ:
落ち着いて。何かあるよ。
一同は心を静めて意識を集中させた。
何か音がした。
少年:
あっちか!
行った先にあるのは・・・小さな石だけ色が付いている。
少年:
何だ?これだけ色が・・・
ぽみ:
他は線画よ!ってあー!わたしも線画になってる!
みみ:
わたくしも・・・
あみ:
あれ〜・・・あたしからも皆・・・線画に見えるー!
少年:
あれ、色が付いてるの、朴だけ・・・?
ぽみ:
どういうこと?ぽ兄ちゃんだけ・・・
あみ:
とにかく辺りを探ろう!
とか言って適当に進んでいるが、何が何だか分からない。
ぽみ:
また色のついた石があったよ!って、きゃぁぁ!?
ぽみが触れた石が急に光り出し、青色に染まってしまった。
あみ:
ギャハハハハハ!ぽみちゃんが青っぽくなってる!
ぽみ:
何を〜!!
あみの頬をぶにぶにするぽみ。
みみ:
あの・・・何でわたくしが緑に・・・
みみは緑の石を持っていた。
ふみ:
その石見せて。
・・・なるほど。よく見るとどこかの硬い筆のような形をしている。
ぽみ:
まさか、その色の通りになるの!?
少年:
これ面白いよ!もっと探そう!
みみ:
ここに黄色いのが!
ぽみ:
これはそこに、え〜い!
近くの岩が黄色になった。
少年:
ここにもピンクの石が!そこだ!
近くに生えているツボ花がピンクに染まった。
ふみ:
なんかメチャクチャになっていないかい?
みみ:
どんな色に。
ふみ:
こういう色はそこにやるんだよ。
深い草が濃い緑と薄い黄色に。
あみ:
黄色くなったあたしってどう?
少年:
何だか分かんないけど面白いよ!
あみ:
とりあえずこれやってみてよ!兄貴!
あっちもこっちもメチャクチャな色。ふみも薄い紫になっいるし・・・
そうしてあちこちに石を投げながら歩いているうちに、審判のところに着いた。
【トゲトゲした裁きの森・審判前】
ぽみ:
あれ〜?審判様も線になってる?
少年:
だったらこれだ!
審判の幹が青に、葉が橙色になった。
審判:
ワシまで巻き込む氣か!
あみ:
ちょっと〜!審判様までやってあげないでよ!
ぽみ:
結局、試練って何だったの?
審判:
小さいのがその色でも、おまえが満足できるかどうかだ。
みみ:
どういうことで。
審判:
違う色になっても、友と思えるかどうかだ。
少年:
むしろ面白いから!いいんだよ!どんな色でも!
審判:
それでいいのか?その者が合わない色でもか?
少年:
人それぞれ好みというのはあるけど・・・色が違ってもそれはそれでまたいい時だってある。
ぽみ:
ぽ兄ちゃん、無理して自分を作らなくても。
少年:
今のぽみも好きだよ!
あみ:
そんなぁ〜wいつもの色に馴染んでるくせに!
少年:
確かに、いつものに慣れてるけど。ぽみたちがいいって言うんだったらそれでもいいよ。朴はそういうぽみたちがいいんだって思える。
ぽみ:
別に、わたしはどう思われてもいいけど・・・
ふみ:
合うもの合わないもの、それぞれあるよ。うちは別に何でもいいけど。
審判:
そのように言い切れるのなら・・・元に戻そう。いいな?
少年:
朴にはいいことだったよ。
ぽみ:
いつまでも塗り絵していてもキリ無いし、そろそろいいかな。
少年:
ぽみ〜 >□<*
青いぽみをぽふぽふする少年。
審判:
どうやら、この色でも受け入れられたようだな。
すべての色が元に戻り、審判もはっきり見えた。
みみ:
わたくしはいったいどんな色に・・・
ぽみ:
似合ってたよ?緑のみみ。
審判:
この先でも意外な色に会うかもしれない。受け入れることができることを祈る。
あみ:
それじゃ、行くよ!
行こう♪行こう♪今そこへ♪
【裁きの森の出口】
少年とぽみたちは森を抜け、しばらく緩い坂を歩いていく。すると・・・見えてきた。花咲き乱れ、青と緑とキラキラに溢れる村だ。
少年:
あれが、その村?
あみ:
着いたー!
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これで今回のお話は終わりです。
思いっきり塗り絵回でした。筆者はホームページで塗り絵を配布していますが、これもそれぞれの自分色に染められる・・・かな?
次回はふみが中心になり、村で藥草を調合します。