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Friend 12 かぐわしい

お花やハーブの香りがする村。かおり村という呼び名が合っている。


【かおり村・門前】

少年:
こんなに花があるんだ♪

ぽみ:
んとね・・・これが藥草になるの。

ふみ:
その花びらをお茶にするんだよ。勿論、他の草とも合わせてね。

あみ:
取っても何度でも咲くよ〜☆彡

みみ:
切っても伸びてくる。

少年:
それで?何から始めよっか!

ふみ:
とりあえず長のところへ行こうか。


【かおり村・長の部屋】

ふみ:
來ましたよ。

長:
ふみ!お告げは聞いてるよ。

少年:
この方が、長?

長:
んん?何かね?その少年は。

ふみ:
急に迷い込んできたんです。レイの紹介で・・・

長:
ああ、あの種族か・・・どこかの世界から飛んできたらしいな。

少年:
なんか變な顔された。

長:
いや・・・ただ珍しいだけで。けど、この辺でもいい噂は聞かないよ。

ぽみ:
よくあることだって言ってるでしょ。ぼふぽふ♪

長:
仲いいのだな。

あみ:
まあね〜。

ふみ:
それと、こちら。レイからの依頼です。

長:
承知した。香り付けだそうだね。

少年:
ここの草木って、どれも香りがするのですか?

長:
全部というわけではないが、殆どは香りだね。藥草になるものも多い。おまえさんのいた世界にある草も、あるかもしれないよ。

ふみ:
藥草の調合がしたいんです。

長:
好きなだけ試して行きな。


【かおり村・中央部迷路】

よくある西洋庭園から・・・

少年:
こういう庭、朴のいた世界にもあるよ。けどなんか広い。

ぽみ:
ここにも点々と・・・これなんかどう?

少年:
なんかスゴイ香りする!黄色っぽいような香り。

みみ:
黄色っぽいとは。

ふみ:
だったらこれはどうかい?

少年:
ん〜・・・紫っぽい香り。

みみ:
香りを色で表している。

あみ:
何?さっきの試練というものに影響された?w

迷路のような道を抜け、いろんな草が生えている広場に出る。

 
挿絵



【かおり村・中央部広場】

ふみ:
ここにあるものなら、少年がよく見かける草もあるよ。

少年:
けど、元の世界で草の香りは・・・ミントくらいなら知ってるけど。

ふみ:
ミント・・・?もしかして、この香りの草のことかい?

丸いミントらしき葉を取って少年のところへ持って行く。

少年:
そういえばこんな香りだったっけ。

あみ:
え?香りを知らないのにミントなんて言ってるの?

ふみ:
あと、こっちのギザギザ。これもいい香りするね。そっちの世界にはよくあるっしょ。そこではよもぎと呼ばれるらしい。

少年:
あれ?よもぎってこんなだったんだ。

あみ:
何それ!よもぎを知らないのによもぎを知ってるの!?

ふみ:
ああ・・・たぶん、あんまり草の世界にいなかったんじゃ・・・

ぽみ:
それ、ちょっと厳しいかも・・・

ふみ:
これはこの世界だけ・・・だね。けど、これなら・・・これはどうかい?

丸っこく先が少し尖った、緑の濃い葉だ。

住民F:
それ、その少年の世界にもあるだよ。溜まった毒を出す草だね。

ふみ:
こらこら、うちが教えようとしたのにw

住民F:
まったく、そんな少年を連れ込むなんて、どんな想いしてるんじゃい・・・

住民はまた不機嫌な顔をしている。

少年:
また始まった・・・

ぽみ:
もういいから!ぽふぽふ♪

住民F:
あれ、なんかイメージと違ったわい・・・

少年:
どんなイメージだ・_・;

ぽみ:
はいはい、もういいから!ぽふぽふ♪

住民F:
仲良くてよかったわい・・・

あみ:
そういう見方をされてたのか・・・

少年:
この星形のこれは?

ふみ:
それは少年の世界には無いんじゃないかな。

少年:
この世界にしか無い草・・・

ふみ:
街の民が酷い眠氣で立ち直れそうになかった時に、この草で治してあげたことがあるよ。

あみ:
それにしても、ふみちゃん、なぜか兄貴の世界もよく知ってる◎

みみ:
どうしてなのか。

少年:
もしかして、どこかから見られてた?

ふみ:
果て・・・どこかの池に映ったので見たような氣が・・・

少年:
どこかから朴たちの世界が映るんだね。

ぽみ:
なんか、いろんな世界が見える池があるの。

少年:
見られてた・・・

ぽみ:
別に何もしないから!ぽふぽふ♪

一同は広場のあちこちを歩きながら、何種類もの必要な香草を集め、調合室へ持ち運ぶ。


【かおり村・調合室】

作業に使うべきものは全部揃っている。

ふみ:
この3種類が、少年の世界にもある草だね。量によって香りの具合や効能が變わる。

少年:
量・・・

ふみ:
とりあえず、同じ量でやってみな。

少年:
同じ量だとすると・・・

小さじ1杯ずつ急須に入れて、試してみた。水出しだ。

ふみ:
これも、飲み過ぎてはいけないよ。適量というものがある。

ぽみ:
そして!これで・・・

ぽみは円形のハープを出した。何をするのだろう?

少年:
ここで演奏するの?

ぽみ:
この急須だけ、時間の流れを速くするの。限度はあるけどね。それと、味も少し良くなるの☆

妙に複雑な旋律を奏でるぽみ。

演奏しているうちに、香草の香りが漂ってきた。

ふみ:
さて、飲んでみな。

少年:
ん〜・・・何だろう。何とも言えない・・・香り?それに、(からだ)が少し温かくなって、なんか氣が抜けたような・・・

ふみ:
溜まった毒を出して、循環を良くする効果があるんだよ。何か溜め込んでいたようだね。

少年:
たぶん・・・何か。

ふみ:
飲むものの他に、塗り藥も作れる。痒み止めだったり、臭いを和らげるものもあるよ。

ぽみ:
またいろいろ調合してみようよ。

ふみ:
だったらそうだね・・・あっちの方に行くかい?

みみ:
どこでも行ってみる。お氣に入りはある。

あれこれ試して、いろいろ作っていた。髪のツヤも良くなったり、足も少し軽くなったり。


【かおり村・門前】

ぽみ:
ぽ兄ちゃん、なんだか、慣れてるみたいね!わたしたちに。

少年:
何?どういうこと?

ぽみ:
裁きの森なんて抜けちゃうし、湖のことも村のこともすぐ馴染むから☆

少年:
そう・・・かな。

あみ:
まだこの世界にいる?
・・・と言っても、どうせ戻り方なんて分かりやしないか。

ぽみ:
これもう、ずっと置いておくしかないね!ぽふぽふ♪


みどりのそこは

にわよりふかい

きのはのしらべ

にわよりふかく

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ここまで書き込みしたところで、一段落しました。

ぽみたちの世界と少年の世界、両方に存在する草もあっても不自然ではない・・・とメッセージを受け取り、今回のお話としました。
ちなみに、筆者はスギナ茶を飲むことがよくあります。

まだお話は續きますが、次のお話をいつ配信するかは未定です。

  2684/06/29 Freshmia

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