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文字の大きさ

試練のとき

 王子さまの婚約者となったエミーナは、先生を付けてもらって文字を教わった。先生はアルファベットが一文字ずつ大きく書かれたカードを使い、その文字はどのように発音するのかを教えてくれた。
 彼女はアルファベットの発音を聞いて学び、アルファベットをどう組み合わせれば自分の名を正しく呼んでもらえるのか、試行錯誤を重ねる。カードを色々と並べ替えては、先生に読んでもらうのだ。
「アミー」
『違う』
「エメー」
『違う』
「エミー」
『そう! じゃあ、「エミーナ」と読んでもらうには……』
 エミーナはカードを探す。
「エミーラ」
『違う』
「エミーマ」
『違う』
「エミーナ」
『そう! それ! 私はエミーナ!』

 そしてついに、先生はエミーナが並べたカードを見て、「エミーナ・ド・ロマーヒ」と正しく読んでくれた。彼女は自分の名前エミーナ・ド・ロマーヒをアルファベットで綴る方法を見つけ出したのだ! 
 先生が侍女に王子さまを呼んでくるように言ってくれたので、王子さまはすぐに駆けつけてくれた。
 エミーナは自分が並べたアルファベットのカードを嬉しそうに王子さまに指し示す。王子さまはエミーナが並べたカードを見ながら言った。
「エミーナ・ド・ロマーヒ。これが君の名前なんだね?」
 エミーナは笑顔で頷く。王子さまはたいそう喜んだ。やっと愛する人の名を呼ぶことができるようになったのだから。
「エミーナ。君は可愛い絵描きさんで、優秀な学び手だね。きっと素晴しい王太子妃にもなれるよ」
 エミーナの笑顔が弾ける。王子さまが両腕を広げると、エミーナはその胸に飛び込んだ。二人は強く抱きしめ合う。
「これでようやく正式な婚約発表ができる! さあ、父上に報告だ」

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