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愛される理由

 二人は出会ってから一年後に荘厳な結婚式を挙げ、エミーナは王太子妃となった。その一年後には王子が誕生し、国王一家と国民を大喜びさせたのだ。
 出産後、エミーナ妃は身体障害者支援団体名誉総裁に就任し、車イスの普及に尽力した。と同時に聾唖者支援団体名誉総裁にも就任し、この国にはまだ存在してなかった手話を考案し、手話の普及にも尽力したのだ。
 他にも国民の識字率を上げる事業と絵画教育支援事業を立ち上げ、この国の福祉と教育と芸術の向上に大きく貢献した。
 エミーナは自分の幸せだけではなく、国民の幸せをも願っていたのだ。ただ願っているだけではなく、その願いを実現させるための行動を自ら起こし、次々に実現させて行ったのである。その尊い行いと素晴らしい業績を見ていた全国民から、エミーナ妃は敬愛された。

 そう。エミーナは行動を起こしたのだ。王子さまの命を助け恋に落ちたエミーナは、自ら行動した。すなわち海の魔女に掛け合い、声と引き換えに脚をもらい、王子さまに会いに行き、絵を描いて、身振り手振りで「王子さまを自分が助けた」と事実を伝えたのだ。そして王子さまへの愛を表情と行動によって表現した。
 それらすべての努力が実を結び、エミーナは王子さまから愛されたのだ。褒美に『王子さまが欲しい』と自分の意思を明確に伝え、文字を学んで自分の名前の綴り方を見つけ出し、正式な婚約発表に漕ぎ着けたから王子さまと結婚できたのである。

 実際のところ、白馬に乗った王子さまなんかめったにやって来るものではない。親切な魔法使いもまずめったに現れることなどないのだ。王子さまや魔法使いを待ってるだけじゃ、年老いて朽ち果てるだけ。
 だから乙女たちよ、自分の手で幸せを掴み取りに行くのだ。頭を使え、知恵を絞れ。王子さまに会いに行け。何としてでも想いを伝えるのだ。欲しいものは「欲しい」と言うのだ。何も行動せず、黙って待ってるだけでは想いは伝わらない。()()()()()()()()()()()()()

おしまい♪

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