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Friend 08 ひびきあい

緑緑した街の片隅・・・ぽみの街馴染みであるレイの部屋に泊めてもらうことになった。街で演奏会をすることを約束して・・・


【レイの部屋】

窓際で語るレイと少年。

少年:
だから、元の世界に戻りたくないんだ・・・

元の世界で爭いに巻き込まれた話をしている少年。

レイ:
お兄様がそのような奴に對してつらい思いをするのは、自分もそんなダメな奴になるのではないか・・・という恐怖からではありませんの?

少年:
分からない。恐怖なのか、それとも・・・

レイ:
オトナと呼ばれるものへの抵抗でしょうかね。變わりたくない、と。

少年:
そもそも、この世界はどうなっているんだい?よく分からない。

レイ:
「成長」の概念が無い理由のことでしょうか。答えは自分で見つけるべきなのでは。

少年:
そう・・・なんだ。

レイ:
わたし、他の世界の自分の記憶がありますの。過去世というのも概念で、同時にいくつもの世界にいますの・・・だから、少年の世界のことも分かりますの。あなたたちの世界でつらい思いをしたのは、わたしも同じですの。變わるという惡・・・自分が自分でなくなる・・・
しかし、世界を選ぶことはできない。どこに生まれるも時の運でしかない・・・あるいは、前世の行いなのか・・・その答えは自分の中にある、と。

少年:
見つけてみるよ。どんな答えも。

レイ:
それがいいですの。

緑緑した街で、この夜を過ごす・・・

翌日。


【緑緑した街】

ぽみ:
小鳥たちがいるよ!

少年:
何かが始まる?

ふみ:
始まるかもね!

妖精たちの世界に來て4日目の朝だ。しかし、妖精たちは何日目ということはあまり氣にしていない。

この朝の氣分、うっすら雲のかかった晴れ空。どうしてだ?


【街中央部のホール受付】

昼間になり、中央部のホールへ入るぽみ一同。受付は鳥人だった。

受付:
話は聞いています。ぽみ様、ですね。ご案内します。

少年:
待って。笛はあるの?

ぽみ:
笛は調達した!この花を・・・笛となれ☆彡

花が變わった形の笛に變わった。

少年:
何だ・・・?また何か伝わってくる・・・

花そのもののような形の笛から何かが伝わってくる。

鳥種族VH:
何だ・・・?演奏会?どうして急に・・・

毛玉種族AC:
昨日から何か騒ぎになってたみたいだけど・・・

急にホールが騒がしくなる。

 
挿絵



【街中央部のホール舞台】

舞台に上がるぽみと少年。

ぽみ:
始まるよ・・・

少年:
初めて見る笛なのに、何だこれ・・・だいたい分かる・・・

幕が開く。観客はそこそこ。

ぽみの演奏が始まる。續いて、少年が笛を吹き始める。

風の流れに乘って、何らかの想いを届けるような曲・・・

良い調子・・・のはずが、途中で譯がわからなくなった。

観客:
wwwwwww
ちょwえええ〜・・・www

少年:
急にメッセージが止まっちゃったよ。

ぽみ:
落ち着いて!

観客・鳥人CC:
何だ?マジの話し合いか?w

観客・鳥人HC:
けど、初めは調子よかったよ。

再び演奏を始める。

2曲目は、空白の空間に水たまりができているような曲・・・

5曲演奏し、終わった。

結果は・・・ギリギリだった。笑い混じりの歓声だった。


【街中央部のホール樂屋】

少年:
思ったよりうまくいかなかった!

ぽみ:
けど、よくやったよ!

少年:
思いつきが急に途切れたんだ。

あみ:
どうしちゃったの?

レイ:
わたしも見ましたの・・・何か様子が變でしたの。どうしましたの?

少年:
分からない。

レイ:
しかし、息ぴったりであることに變わりはありません。初めての樂器ですのよね?どこぞの世界では、あれを「即興」と呼ばれるらしいですの。

少年:
即興・・・

ぽみ:
たとえどこか變でも、あれだけできたんだから!

みみ:
あれだけできても、前にぽみの言っていたのとは少し違う。

ふみ:
確かに違うよね。けど、客は喜んでいた。

あみ:
客は喜んでいたけど、兄貴はあれでいいの?

少年:
あれはあれでいいけど、まだよくないよ!もう一度やりたい!今度は滑らかにやる!

ぽみ:
もう一度やりたいて言うけど、ホールが空いていればね。

レイ:
空いていればですけど、お兄様に問題がありますの。

あみ:
レイちゃん・・・


【街中央部のホール受付】

受付:
・・・分かりました。夜も運よく空いていますので、お好きなように。告知しておきます。

ぽみ:
よかった!


【レイの部屋】

レイ:
ということで、まだいるのですのね。

少年:
そういうことになる・・・

レイ:
まあ、お兄様のことも分かったし、いいですの。しかし、問うことがあります。

少年:
何だい?

レイ:
ぽみのおともだちとして、どうしていきたいのです?そこがどこかぐらついていませんこと?

ぽみ:
どういうこと?

少年:
それは・・・

レイ:
ぽみに何かアレなことを考えていませんこと?

少年:
そんなことは!

ぽみ:
わたし、概念は無いし、ぽ兄ちゃんはそんな惡い奴じゃないから。何でもいいよ!相談して!

少年:
何を想像してそんな・・・

レイ:
迷ってはいけませんの。大事なのは、お互いに打ち解けることですの。

少年:
打ち解ける・・・

レイ:
その心で受け取るものがありますの。それが、お兄様の答えですの。

ぽみ:
だから途中で演奏がおかしくなったのね。

みみ:
それってなんかこう。

そして宵の頃になる。


【街中央部のホール受付】

受付:
お客様がお待ちです!

ぽみ:
行くよ!


【街中央部のホール舞台】

再び、舞台に上がるぽみと少年。

ぽみ:
始まるよ・・・

少年:
初めはイメージが止まったのに、何だこれ・・・今はやけに何か伝わる・・・

幕が開く。観客はいっぱい。しかし・・・

観客・花人HB:
また前と同じなんでしょ・・・と言いながら見てるけど。

観客・花人NB:
分からぬよ。

ぽみの演奏が始まる。續いて、少年が笛を吹き始める。

昼間の時とは違う。インスピレーションが次々と降りてくる。ハープの流れに合わせ、笛を吹く少年。

観客・花人HB:
何か違う・・・

観客・花人NB:
けど、あの感じ、何かしら。

風の流れに乘って、ぽみたちとどこかへ飛んでいっているような曲・・・

意外と余裕で演奏し切れた。

2曲目は、仲間の絆を必死に守るような曲だ。

3曲目は・・・少年がぽみやレイに全力でまとわりつかれたいとでも喚いている曲。妖精たちに容赦無く攻められる少年。ぽみも苦笑いしながら共鳴してハープを彈く。逆に、ハープが笛に合わせているようにもなってしまった。ぽみには譯がわからなかった。自分と相手の区別がつかない。

5曲の即興が終わった。

また少し、笑い混じりの歓声だ。前よりはマシだ。


【街中央部のホール樂屋】

ぽみ:
何だったの!?ぽ兄ちゃん!

レイ:
夲当に何だったとですの!?

少年:
いや・・・その・・・

レイ:
やっぱり、おかしいと思いました。あなた、自分を否定し過ぎていたのですのね!?

少年:
それは・・・

あみ:
レイちゃん?何を急に・・・

レイ:
お兄様の世界では、良いものを惡いと騙し、惡いものを良いと喧伝する、腐った思想が蔓延しているのですの!それが意識に植え付けられていますの!

少年:
そ・・・それは・・・

レイ:
お兄様!わたしたちを否定しないでくださいですの!わたしたちは、おともだちですの!

ぽみ:
そうよ!おともだち!ていうか、家族!

少年:
家族・・・

少年はどこか不安が募っていた。レイはどこか見破っていた・・・

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これで今回のお話は終わりです。

演奏会にハプニングがあるのも、インパクトがあって良いのかもしれません。キッチリし過ぎると逆に退屈かも。

次回はまた新しいエリアへ行きます。

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