クソジジイ
わしがはる君の心を鷲掴みにするために用意したプレゼント。
それは……
手作りのお手玉だ!
頑張って作った。
夜な夜なかず子の裁縫道具を勝手に借りて作ったのだ。
わしの手汗が染み込み、手垢がこべりついた渾身の作。
きっとはる君は大喜びに違いない。
……。
そう思っていた時期が、わしにもあったのだ。
今思えば、あまりにも未熟が過ぎる。
若者の心を分かっていなかった。
わしはとっくに若者ではなくなっていたのだ。
わしは理解していなかった。
相手のためを思って努力した時間や苦労は、必ずしも相手の喜びの大きさに比例するとは限らないということを。
わしはこの日、何十年かぶりに枕を濡らすことになる。
今朝のわしは世にも愚かなクソジジイだった。