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小さかったり、大きかったり、溢れんばかりに星が散らばっている。プラネタリウムで見る星空は、凛としていてとても美しかった。
しかし、透日は単純に感動できなかった。
露華の発言が、次第に透日の中に影を落としていく。
なぜか、一組のカップルの会話が、雑音をすり抜け真っ直ぐに聞こえてきた。
「昔の船乗りたちは、何を目印に方角を確認してきたんだと思う?」
「えー、分かんなーい」
「北極星だよ。とても明るい星でね。太古の昔から、我々に進むべき方向を示してくれたんだ。AIや機械がなくてもね」
「おっかしー。あなた、船乗りでも、昔の人でもないのに」
女性はわざとらしい返事をした。
北極星。現在はこぐま座α星を指す。地球上から見るとほとんど動かず、一年中真北の空で輝く星。
別名、ポラリス。
「サム、ちゃんと星見てる?」
「うん、見てるよ」
「私、イヤなことがあったら、ここに来るの。なんて小さいことで悩んでるんだろって、前向きになれるから」
「そうなんだ…」
透日は露華よりも、彼氏が鼻高々と語る雑学に意識を集中していた。
肝心の彼女からは「へぇー」という声しか聴こえてこなかったが、彼氏は構わず喋り続ける。
透日は多くのことを学んだ。
星にも名前があり、寿命があること。
途方もない年月を過ごし、最期は超新星爆発を起こすこと。
その後は、宇宙塵と星間ガスとなること。
それら残骸は、また新たな星などに生まれ変わっていくのだということ。
北極星は、周期ごとに一巡すること。