40
「透日、ついでに三日くらいサボっちゃおうよ」
そう言って、ハルは勢いよく起き上がる。
「サボる?」
「そう。三日間何も考えずに、内側で過ごすんです」
「サボるか…。まぁハルと茉璃がいいなら…」
「よかった!だけど、うぅ…気持ち悪い…。ごめん、俺はもう少し横になってるよ」
「うん、分かった」
ハルの話し方に、有無を言わさぬ威圧感はない。それでも、透日は従った。全てをもたらしてくれた彼に。
三角形の屋根に小鳥たちが飛んできたのを、窓から眺めた。おそらくヴァーチャルかロボットだろう。
野生の鳥がわざわざこの厳しい日差しの元に来て、その上優雅にさえずるなんて。
羽根布団を翻す音が聞こえた。茉璃が目を擦りあくびている。
「お兄ちゃん、ここどこ?」
「おはよう、茉璃。ホテルだよ。昨日のこと覚えていない?」
「昨日…ホテル…。あんまり覚えてない…」ぐるっと見渡した後「顔洗ってくる」と言ってベッドから出た。
「…ねぇ、ハル。訊いてもいい?」
「んー?」
「あの…茉璃と一緒に出かけてもいいかな?」
ハルはクスッと笑い言った。
「変なの。わざわざ俺の許可取る必要ないのに」
「確かに、それもそうだね」
「今日一日ここにいるから。何かあったら連絡ください」
「うん、ありがとう。茉璃、支度して。友達と遊びに行くよ」
「友達?」
「そう。この前知り合ったんだ。すぐ仲良くなれると思うよ」
彼女は、茉璃と一緒でも問題ないと言ってくれた。だから、ハルのように打ち解けられるはず。
ブルームーンを開き、素早くメッセージを送った。
<僕で良ければ。どこに行けばいい?>