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—うーん…頭割れそう…
ズキンズキンと痛みが止まらない。それに加え、逆流してくる胃酸。完全な二日酔い。
寝ている場所が床でなく、ベッドになっていることに気づく。もしかして、酔いつぶれて病院に運ばれたのだろうか。
ぼんやりとピントが合う。病院ではなく、外側へ戻ったわけでもなく、ホテルの一室にいることを思い出した。
ハルが酔ってしまいまともに歩けなくなったのと、茉莉も眠気の限界が来てしまってい、困り果てていた。その時、バーにいた親切な客が、近くの格安ホテルを教えてくれたため、透日たちはそこに宿泊することにした。
「ハル、頼まれてた薬買ってきたよ。後、ミネラルウォーターも」
「ありがとうございます…。はぁ、本当に情けない…」
「いいって。気にしないで」
ハルは、骨が抜けたようにのけ反って水を飲む。露華もカクテルを飲んでいたが、透日にメッセージを送れるくらいは、平気そうだった。
茉璃はまだ寝ている。
透日も横になって、ゆっくりしようかと思ったが、せっかく内側にいるのに何もしないのはもったいない。
とはいえ、茉璃の面倒をハルに押し付けて、自分だけ遊びに出るのは気が引ける。
<昨日はありがとう!楽しかったけど、少ししか話せなかったのが残念。近いうちに会おうよ。ぜひ、妹さんも一緒にね>
朝早く来たメッセージを何度も読み返す。返事をしなければと思っているものの、送るべき内容が定まらず、入力しては消していく。
<こちらこそ、ありがとう。今度会った時紹介するね>
時間をかけて悩んだ結果、無難な文章になってしまった。<急だけど、今から遊ばない?>と間髪入れずにと返信が来た。
誘ってくれたことは素直に嬉しいが…。
―今からか…どうしようかな
「俺のせいで、仕事に行けなくてごめん…。今日一日休めばなんとかなるから」
「いや、僕も今日は仕事休みたいなって思っていたから。ちょうどよかったよ」
「え、珍しいですね」
「そう?」