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「ジャズには詳しくないけど、たまにはこうやって過ごすのもいいのもです」

「そうだね」

「子供の頃はサッカー戦選手とかじゃなくて、獣医さんになりたかったんですよ。昔の映画でね、見返りを求めず、人と動物を救っていく物語があって。動物が救われれば、自ずと人も救われる。素直にかっこいいなって思て」

 酒が入ったからか、ハルはいつもより饒舌だ。気分良く喋り続ける。

「でも、俺にそんな頭はなくてね。それに、ここにはもう野生の動物はいないから。意味がなくなってしまって。ここよりもっと、もーっと遠くに行けば、残っているらしいですよ。そこにはゲートなんてなくて、こんな窮屈じゃないんだろうなぁ」

「ハルお兄ちゃん、どうかしちゃったのかな?やっぱり、お酒飲んじゃいけなかったのかな…」茉璃が透日に耳打ちをする。

「大丈夫…だと思うよ。お酒は安全な飲み物だって、ハルが言ってるから」

ハルは鼻歌を歌ったと思ったら、隣に座っている知らない人と談笑を始めた。

「飲み物取ってくるけど、茉璃はここにいてね。迷子になっちゃうといけないから。すぐ戻るよ」

「うん」

 酒がガードを緩くするのか、ここに集まっている人々は皆陽気で分け隔てない。透日も面識のない人から声をかけれた。

バーテンダーの人柄もあるのかもしれない。
アンドロイドやロボットではなく、自らカウンターに立ち、対面で注文を受ける珍しい店だ。

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