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 透日がドアノブに手をかけようとする前に、扉が開いた。
「お兄ちゃん達、外で何しているの?」茉璃が怪訝な顔をのぞかせる。

「あ、ただいま。ちょっとね…色々と…」

「色々…?」

「雑談していたって意味だよ」

「何でもいいけど、家に入らないの?」

「今入ろうとしていたところ」

「茉璃ちゃん、調子戻ってきたね。顔色も良くなった」

「うん、もうすっかり元気になったよ。ありがとう」
茉璃はにかむようしてハルに返事をする。

「…なんか、ハルにだけ優しくなってない?」

「そんなことないよ。いつも通りだよ」

 ハルは二人の会話に混じることなく、ただ見守っていた。
それに気づいた茉璃は、無邪気な声でハルを呼ぶ。「ここ、座って。食べよ」

夜になっても冷めない気温によって、食欲は奪われた。しかし、食べるしかない。出来るだけ栄養を蓄えていないと、向こう側と違って救護してくれる人はいない。

「透日、ずっと気になっていたんですけど、あれなんですか?」

ハルが部屋の隅の方を指差す。

「ラジオって言うらしい。音楽とか、ニュースとか流れてたけど、もう壊れてて」

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