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「あーそれ、よく言われてました。軽そうな性格だって。そんなことないのに」

「本当にね。さ、早く帰ろう」

 二人並んで「お腹すいたね」「今日のご飯は何かな」など話しながら歩く。

内側へ行く前と比べて、ハルが言っている話の内容が、透日にも半分くらい理解できるようになってきた。
特に、「向こうにあるのは、偽物の自然だ」という彼の発言のこと。
自然だけでなくほぼ全ての動物も、技術によって再現されている。

愛玩動物は生物そのものからアンドロイドやヴァーチャルへと変移し、それに伴ってワニやライオンなど、かつての野生生物を飼う人も増えてきている。

元来の目的からかけ離れ、定義の幅が広がった。
そして、灯台で茉璃が読んでくれた海の生物たちも。

水族館に行けば見ることが出来る。透日は茉璃の体調が戻ったら、すぐに行こうと決めた。

「むかーしは、魚が良く獲れてたらしくて。だから、色んな人が食べれていたみたいだけど。今では数が限られてしまって。俺でも数回しか食べたことないくらい、希少なんです」

「へぇ。魚って美味しいの?」

「それはもう。忘れられないくらい。唐揚げより美味しかったです」

「その唐揚げの元になる動物はまだいるの?」

「はい。鶏は用途が多いから、大切にされてる部類ですね。牛とか豚は場所を取るし、金もかかるから、魚同様高級食材となってます」

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