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露華の中で沸々とした感情を押さえながら、彼に伝えた。
「また会える?毎週この時間、この場所に、私はいるから」
そうは言ったが、約束を守るつもりはない。久しぶりに外に出たが、想像以上に暑苦しかった。
知らない間に長雨の季節は通り過ぎていて、誕生日は誰にも祝われないまま、本格的な夏が来る。
ー名前訊くの、忘れちゃったな。ま、いっか
露華は快適な室内に戻ると、洗いたてのシーツのベッドに横になった。そしてすぐに深い眠りへと落ちていった。
***
内側へ行ってから、希望が見いだせるようになった。毎日の仕事も、今度内側へ行った時に食べたいものや、行きたい場所のために、と思うと自然に体が動く。
ハルが、「今日はここで切り上げよう」と言った時は、物足りなさを感じたがむしろそれぐらいでちょうど良かった。
外側に帰ってきた次の日、環境の変化によるストレスで、透日と茉璃は体調を崩してしまった。
「透日、こっちは終わったよ」
「うん、すぐ行く」
透日は人より回復が早いため、すぐに仕事に復帰できた。そこだけは自分の長所だと自負している。
罵詈雑言を浴びせられても耐えられた。今は一人じゃない。ハルがいてくれる。