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内側の人と、茉璃を幸せを一番に考えてくれる人と出会ってほしい。
「ハルは、その…好きな人とかいたの?」
透日は思い切って訊いてみた。
「もちろん、いましたよ」
夕日に照らされているからか、そう言った彼の顔は心なしか悲しい表情をしていた。
「そう…。ハルは優しくて気さくだから、みんなから好かれるんだろうね」
「そんなことないですよ。あ、今朝言った注意事項、忘れないでくださいね。安易に本名を教えてはダメですから」
「うん、分かってる」
「それと、"ブルームーン"に勧誘されたとしても、深入りすることは避けてください。個人的に、お勧めはしません」
「"ブルームーン"?建物の名前?」
「いや、最大規模のコミュニティサイトのことです。まぁ、透日たちには必要ないことですから」
「そう…、分かった」
疑問はあったが、ハルの言う通りにしていれば大事は起きない。
このままではダメだという焦りの気持ちと、ハルに依存していたいという矛盾を抱えたまま、透日は日常に戻っていった。
***
母国語は話せない、産みの親はどこか遠くの赤の他人。アイデンティティは持ち合わせていない。