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「大丈夫ですか?」「迎えに行きますか?」と心配するメッセージに、「大丈夫。今行く」とだけ返信する。
透日が席に戻った頃、試合は前半終了間近だった。


 夕日を見たのは初めてなのに、感動よりなぜだか哀愁の気持ちが強くなる。今日の空の色も、雲の形も全く同じ日はないのかもしれない。

本来、世界は様々な色で満ち溢れているはずだ。モノクロで単調な外側へ出る時は、そこまで厳重な検査はしなかった。

 途中で茉璃が眠ってしまったため、ハルと交代で背負いながら帰路につく。
サッカーの試合はドローで、ぱっとしない結果になったが、透日たちにとっては十分に楽しめた。

長時間ゴーグルをかけていたせいで、目の奥が凝ってしまった。サッカー観戦の後は、透日のためにジャズコンサートへ行く予定だったが体力面を考慮し、次回へ見送ることにした。

 内側での経験はどれも素晴らしく、どれも刺激的だった。しかし、透日が思い出すのは、真っ先にあの彼女との出会いだ。

彼女の言ったことが本当なら、また会えるのだろうか。
次に会った時は、今度こそ名前を聞くんだ。

 透日は幾度となくため息をつき、うわの空で返事をしていると、ハルが「好きな人でも出来たんですか?」と訊いてきた。

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