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 透日はトイレへの矢印を確認しながら進む。
会場の外にあったため、少し歩くことになった。

―大丈夫とは言ったけど、戻る時不安だな…

いざとなれば、ハルに迎えに来てもらおうかと目印になるものを探していると、透日の耳元にピアノの音色が届いた。ラジオで聴いた、あの音と一緒だ。

もしかして、と透日は入り口とは反対方向に走る。

 そこには写真で見たのと同じ、光沢のある黒いグランドピアノが弦を鳴らしていた。

弾き手はいない。自動で鍵盤が動いている。

―キレイな音。心が浄化させるようだ

ホ長調の繊細なメロディに身を任せていると、すぐ横に女性が並んだ。
「ねぇ、あなた」

誰に話しかけているのか分からず、透日は聞こえないふりをした。
するともう一度、「ねえったら」と言ってきて腕を叩く。

「あ、はい!何でしょう…」

栗色の長髪に白のブラウスに白のスキニー姿の彼女は「この曲のタイトル知ってる?」と透日に微笑んだ。

「あ、いや、分からない…です」

「『革命』、それがこの曲の名前」

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