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サッカーの試合会場まで徒歩で行くことにした。
数十メート移動するだけで、街の雰囲気はガラッと変わる。
白と青を基調とした建物が並んできたと思ったら、煉瓦造りの古風な家が、その先には高層ビルがひしめいている。
季節によって咲く花が違うように、家の外観も変化することがある。
これだけの技術を内側の人々が占有しているのだと思うと、羨ましく妬ましい気持ちになった。
新しいものが出来ていくのと共に、どれだけの犠牲の上に成り立っているのか、思慮する人はごく僅かだ。
「お二人共、"UNION"にチケットを送りました」
「"UNION”?」
「あ、"UNION”っていうのは、コミュニケーションツールの名前です。これで何かあった時、連絡を取り合えます。ちなみに、支払いもこれでできるんですよ」
透日の右目の位置に、"UNION”の青いアイコンが表示され点滅した。"未読のメッセージがあります"と音声が流れる。
アイコンをタッチし開いて見ると、ハルからのメッセージを確認した。
「今開いた。なるほど…早くて便利だね」
「私も出来たよ」
「流石です!そこまでくれば、俺から教えることは何もないですね」