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出会いは人生を変える。良い方向にも、悪い方向にも。
ハルが連れて行ってくれたカフェの屋根や壁には、時計が敷き詰められていた。
デザインや大きさも、指している時間もバラバラだった。
中に入っても、変わらず秒針の音がする。カウンター席はすでに埋まっていた。
「いらっしゃいませ」という空中ディスプレイが出現した。ハルは素早く操作する。
ピロンと耳元で音が鳴った後、席までの行き方と番号が床に投影された。
「さぁ、こっち」
ハルに案内され席に着くと、今度は写真つきのメニューが開いた。言語は自動で翻訳してくれる。
「画像に触れれば、操作できますから。遠慮しないで、どんどん食べて。全部俺が払いますから」
「けど、何だか悪いよ…」
「いいんですよ。とにかく、楽しんでもらいたいから」
「そうは言っても、何もお礼できないよ」
「言ったでしょう?俺は恩返しをしたいだけなんです」
「…、分かった。じゃあそうさせてもらうね。ハルはいつもどれを頼むの?」
「俺はコーヒーが好きだけど、苦くて飲みにくいから紅茶とかどうですか?」
「紅茶ね。まつ…サリーも同じのにする?」
「うん、そうする」