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「お兄ちゃん。ここだよ」
すぐ後ろで声がした。

「え?本当に茉璃なの?」
黒髪が茶髪に、メイクも服装も内側の住民と遜色ない格好になっていた。

ゴーグルを外すと、そこにいるのは間違いなく茉璃がいた。

「お兄ちゃん、本名で呼ばないって約束でしょ?」

「そうだった、ごめん。サリー、その格好似合いってるね」

「ありがとう。お兄ちゃんもカッコいい。それより私たち、本当に来たんだね」

「そうだね、まだ信じられないけど…。とりあえず、ここでハルを待とう」

 すぐに合流できると言っていたが、どうやって自分たちを見つけるのか見当もつかない。

内側に来たらやりたいと思っていたことは、たくさんある。
茉璃が持ってきてくれた本のおかげで、ピアノを知ることができた。できるなら、ピアノの演奏を生で聴いてみたい。

茉璃はまだ星空を見たことがないから見せてあげたいし、冬になったら雪で遊んでみたい。
勉強も頑張って、ハルがいなくても一人で全部できるようになりたい。

「先輩、サリーちゃん。お待たせしました」

透日たちに声をかけてきた青年は、すぐにハルだと分かった。

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