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銀色の扉が開き、透日が入るとすぐに閉まった。武器や凶器となるものを探知するための過程だ。

持っているのはICカードと電子機器、メモ用紙1枚のみ。数秒も経たず、今度は目の前の扉が開いた。「どうぞ、お入りください」という音声が聞こえた。

 透日は胸を撫で下ろした。無意識に息が止まっていたことに気づき、深呼吸をする。ここからは、未知の領域。

意思より先に足が動く。ずっと夢見ていた世界への視界が一気に開けた。

真っ先に、冴え渡る空と日の光と熱が燦々さんさんと透日へ降り注いだ。
太陽を見ようとしたが出来なかった。外側にいた時より何倍も明るい。

辺りを見回してみる。こざっぱりしているし、人の往来もまばらだ。試しにハルからもらったゴーグルをかけて見る。

「すごい…。これがハルの言っていたことか」

目の前には突如、電光掲示板が現れ、そこから大音量の音楽と映像が流れてきた。

先程まで静かだった歩道にも、ピンクや緑といった髪をした、派手な服を着た人の姿が映っている。

道脇には季節の花々と街路樹の葉の色が瑞々しい。匂を微かに感じるほど、再現されている。

それだけではない。外側より気温も湿度も低く、とても過ごしやすい気候である。

透日は想像を超える光景にあっけを取られてしまい、茉璃の安否を確認するのが遅くなってしまった。

「茉璃?どこ?」
透日はつい本名で呼んでしまった。

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