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「大切といえば大切だけど。それ以上に、透日たちにはかけがえのない時間をもらいましたから」

「そう…かな。嬉しいけど…本当にいいの?」

透日は歯切れの悪い返事をした。
実感が湧かなかった。絶対などないと、ハルの言葉が真っ先に浮かんだ。

「ご飯食べたら、出かけてきます。朗報を待っててください」

ハルは自信があるような表情をしている。

「うん、分かった。けど、まだ茉璃に言わないでおくよ」
白い灯りがダイヤモンドに入ると、精巧なブリリアントカットによって、七色の光となり鋭く放たれた。
“ファイア”と喩えられる、まさに天衣無縫の輝きである。

産まれて初めて、内側の世界の地を踏むことができる。透日は平常心ではいられなかった。

だから、「お兄ちゃん、いいことでもあったの?」と茉璃が訊いてきても、透日は「何にもないよ」と返すだけで精一杯だった。

どうか、これが嘘ではありませんように。
どうか、これが夢ではありませんように。

横になって何度も願った。

暗闇にファイアの残像が映る。
透日たちを導くその光は、あまりにも眩しすぎたー。

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