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透日とハルはマンションの手前にある、人気のない脇道に逸れた。
日が長くなったため、街灯がついていなくても周りがよく見える。
ハルはもう一度、人がいないか見渡した。
そしてポケットの中から取り出したものを、透日の前に差し出した。
「これ、何だか知ってますか?」
「さぁ、見たことない…。けど、キレイだね。とても貴重なものだと思う」
「これは指輪って言って、指にはめる装飾品です。そして、この指輪についているのが、ダイヤモンドと呼ばれる宝石です」
「ダイヤモンド…?」
「そう、今やコレクターの間では垂涎すいぜんの的です」
ハルはデバイスの懐中電灯を使い、ダイヤを照らした。
「どうしてそんなものを…?というか、それがあったらどうなるの?」
「これを金に変えて、透日と茉璃ちゃんを内側へ行けるよう、取り付けます」
「けど、大切なものなんじゃないの?」