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「どうせ余るんだから作らなきゃ良いのに」ハルはずっと不満を口に出している。

彼が苛ついている姿を見せるのは初めてかもしれない。

「内側の住人あいつらにこんなものは必要ない」と古傷の男が言っていた乾パンは、素朴な味だったが美味しいと思った。

透日たちにとって、明日を生きるための糧の一部でもあった。

そしてその糧は、毎日のように内側から送られて来る。

一度でも向こうの料理を食べたなら、あの時食べた乾パンの味はきっとすぐに忘れてしまう。
「向こうの人たちは何を食べるの?」
透日が訊く。

「ジャンクフード、お菓子、サプリメントとか?」

「ジャンク…。えっと、よく分からないけど美味しそうだね…」

「俺はあんまり好きじゃないけどね。それより、家に入る前に少しだけ話しておきたいことが…」

「え、何?」

「そんなに構えなくても大丈夫ですよ。多分、悪い話じゃないと思うから」

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