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偏頭痛が鈍く広がっていく。傘の
ハルは当初、内側との気温差に体調を崩してしまっていた。今も万全ではない。
だが、それに悩まされるのも、あと少しの我慢だと知っていた。
ー透日たち、風邪ひかないといいけど
キャップをはめ直し柄を持った。もう片方の手をポケットに入れる。
ハルはその中にある硬質な感触を、しっかりと握りしめた。
「今日、茉璃ちゃんと話しました。透日のこと、心配してましたよ」
「今日?いつ戻ってきたの?」
「透日が出て行った後ぐらいですかね。手伝おうか迷ったけど、茉璃ちゃんに勉強を教える約束してたでしょう?」
「うん、そうだね。ありがとう。あの子、ハルがいないと暗くって」
時間帯もあって、炊き出し所は混雑していた。
長蛇の列に並び受け取った弁当は粗末なものだった。
「またコロッケか…。ベトベトするだけで美味しくないんだよなぁ」
ハルの言う通り、今回の食糧は彩りも栄養も悪い。透日の方には、油を吸い上げくたびれたフライドポテトのみであった。