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シロイドたちの行動は内側の人間のみ操作できる。
緊急時であれば、相手の動きを鈍らせるために微量の電気を帯びた銃も放つ。
—あの男がこちら側の人間でよかった
透日は心底思った。そうでなければ、何をされていたか。
しかし、外側の住民である以上、自分の身は自分で守らなければいけない。
「先輩、先に家に帰りましょう。弁当は俺が後で買いに行きますから」
ハルが心配そうに言う。
「いや…もう平気だよ」
「そう…ですか?」
「それより、どうして僕の居場所が分かったの?」
「メールですよ。俺にも届いていたけど、別件でやることがあったから。朝から行けれなくて…。けど、何とか間に合ってよかったです」
「うん、本当に助かったよ。ありがとう…」
訊きたいことはそれだけではない。
けれど、透日はぐっと堪えた。
そして、「明日は?」とだけ訊いてみた。
「明日からまた手伝えます。ようやくひと段落したので。安心してください」
「そっか…。ありがとう」
「いいんですよ。1人で抱え込まないでください」
ハルは透日の背中にそっと手を添える。透日の片方の頬が濡れた。
ハルの背負っている業が何であれ、関係ないと思えた。