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どれだけ時間が経過したのか二人には分からない。
ハルが「もう寝るましょう」と立ち上がる。

自ら輝く名もない欠片たちでも、透日たちの世界を滅多に見下ろすことはない。それらは乾坤一擲(けんこんいってき)の時を知らせる雨夜の星たちであった。



「行ってくるね」
透日はドアを開ける前に茉璃に言った。

「うん…。ハルお兄ちゃん見つかるといいね…」

「大丈夫、彼ならすぐ帰って来てくれるよ」

デバイスを起動し仕事場への案内を開始する。

膝を突き合わせて以来、何も告げずに出ていく日があったと思ったら、透日と一緒に仕事をしたり、茉璃の面倒をみるために戻ってくる日もあった。

透日は問い詰めるつもりも、詮索するつもりもなかった。

彼は透日たちを内側の世界へ行かせることを約束した。
だからその準備をしているのだろう。そう自分に言い聞かせた。

 学校の清掃業務も透日たちの担当である。子どもたちが勉強だけに集中できるようにと代わりに掃除をする。

突き抜けるようにまっすぐに伸びた廊下を、モップで地道な速度で拭いていく。

透日の腕と少女の腕がぶつかる。
しかし、何事もなかっかのように、少女は同級生たちと笑あいながら通り過ぎたていった。

透日より体格がいい。中には化粧をしている少女もいた。

キュッキュッと靴底のゴムと床がこすれ合う。

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