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「ありがとうございます。一人目は、うちの学校でもトップクラスの成績を収めており、芸術的センスもあってー」

胡散臭い笑顔とテンプレを暗記したような言葉の羅列。十部は適当に相槌を打ち、聞いてるふりをした。桜坂も同様だ。

「開放日」の目的は、ギフテッドのような天才たちを一流のエンジニアや医者、科学者などの育成候補を集めるため。

 もしくは、新薬の開発、研究のための実験台として利用するため。パトロンたちがペット感覚で子供を買うこともある。

そういった輩からのキックバックで潤う人たちがいるのも事実。

だからこうして、政府関係者に対して少しでも有利に進めてくれるよう根回しをする。

「あの、そろそろいいでしょうか?私達、時間がないので」

二人目を紹介し終わったタイミングで桜坂が申し出た。
ピリついた感情が相手にまで伝わった。

「あ、あの。次の子で最後ですから…」
先程まで整っていた相好が一気に崩れる。

「いいえ、もう結構。十部くん、この話聞く必要ないでしょ?」

「はい、ないですね。もう次へ行きましょう」

「ちょ、ちょっと。せめてお名前だけでも…」「先生!僕を内側へ行かせてくれるんじゃなかったの?」背後の揉め事を気に止めるとこなく、二人は校舎を出る。

着地していたレヴィークルが自動で起き上がる。

「次の目的地までは最短距離で。多少飛ばしてもいいから」桜坂が指示を出す。

「かしこまりました」

ー桜坂さん、せっかちなんだな

桜坂とは反対に十部は機嫌を取り戻していた。

彼の頭の中のシャボン玉は、最後まで弾けることなく膨らみ続けた。

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