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 多くの子供たちは過激派集団に利用され、傀儡となり兵器となり最終的に捨てられ、誰からも認識されることなく消えていく。

壁を造ったことで反乱分子を抑え込み、コントロール下に置くことで、辛うじて国家滅亡は逃れたが、暗雲は目の前まで迫っている。

人類が誕生してから現在まで、争いが起こらなかった期間はたった数百年もないと言われている。
戦争は人間の本能なのだろうか。

「先輩、こっち。こっちのほうが早いです」

 ハルが指を差す方に目線を向ける。
何十年過ごしていても、その狭く険しい道の存在を知らなかった。

だからといって、いつもの光景の延長線でしかないはずなのに、抜けた先に仄かな希望の気配がした。

二人に躊躇いなどなかった。
今ならどこにでも行けるような、そんな大げさな期待感が二人を突き動かした。

***

 どこで道を間違えたのか。

ー俺の人生、こんなはずじゃなかった

なぜ自分はここにいるんだ。
なぜ自分はこの枯れたアスファルトを踏み、汗を流しているんだ。
有名大学を卒業し、エリートたちと共に約束された人生を送るはずだったのに。

十部夏弥(とべなつや)は代わりの小型浮遊全自動移動装置(通称・レヴィークル)が来るのを今か今か振り返る。

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