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 内側に行きたい。もっと音楽のとこを知りたい。音楽だけじゃない、たくさんのことを知りたい。

気持ちに絆創膏を貼っても剥がれてしまう。欲がどんどん強くなっていくから。

「話変わるけど、明日からどうするつもりなの?」

「そうですねぇ、まだ何も決まってないのが現状です。まぁしばらく野宿かなとは思っていますが」
ハルは肩を竦める。

透日はその姿を見てチャンスだと思った。
恩返しを期待する心もあった。

ハルと一緒なら、もしかしたら内側へ行ける方法が見つかるかもしれない。
何の根拠もないただの空想。

今日、久しぶりに茉璃の心からの笑顔を見た気がした。
ハルとの出会いは、沈滞していた二人の人生に明らかな変化をもたらすことになるだろう。

大きく儲けたいなら、大きく賭けるしかない。

「…当てがないなら、しばらくここにいてもいいけど」

「え?ホントですか?」

「うん…。いつも茉璃には寂しい思いをさせているから」

「嬉しいです!ありがとうございます。…その代わりと言っては何ですが、ある程度の勉強なら茉璃ちゃんに教えられますよ」

「え、いいの?本当に?」
思わず大きな声で喜んでしました。
彼の方から申し出てくれるとは思ってもみなかったから。

「はい、先輩は恩人ですから!」

「ありがとう!本当に…」

傍らで透日のデバイスの通知音がなった。
ディスプレイには、明日の仕事依頼メールが届いたバナーが表示されていた。



 ドンドンドン—。

ドアを叩く音がした。
透日は騒音と共に目を覚ました。

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