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第15話 入学試験③

「あれ? 結界魔法も使えるんだっけ?」

「そうだよ。話してなかったっけ?」

「いや、魔法の属性に関する話は全然してなかったよ。」

「そうだったか。」

 仲良くしていて、その中で魔法の魅力の話もしていた。だから、話してるものだと思っていた。

「まあ、サクッと終わらせるよ。」

「おう! 頑張れよ!」

 そうやって、試験監督であるアーリア・クルーシュに近づいて行った。

「すみません。」

「何だい? 問題でもあったか?」

「いや、結界魔法の試験をしてほしいです。」

「ああ、なるほど。だいぶ遅かったな。」

「すみません。いろいろやってたもので。」

「ん? そうか。」

 まさか全属性の試験を受けてるとは思わなかったため、遅い事実に違和感を持たれたことをつゆ知らず。

「では、初めてもいいでしょうか?」

「もちろんだ。」

 試験は始まった。
 そして、試験官の想定を大きく上回ることになることはこの時は誰も想像していなかった。この場にいる友人のルナストですらここまでの結果は想定していなかった。

 まずは、ロベルは何も話さず、ただ作業をするかのようにいつも通り結界魔法を展開した。

「おいおい、結界魔法無詠唱ってまじかよ。とんでもない逸材がやってきたな。」

 アーリアはそんなことを呟きながら魔法を当てる準備を始めた。

「まずは軽めから行くぞ!」

「はい。」

 そうやって飛んできたのは初心者が打つような火力の魔法だった。
 これは当然の如くびくともせずに防いだ。

「まあ、こんなんで壊れてたら期待はずれだったな。」

「そうですね。何のための無詠唱だって話ですし。」

「お前さんとは話が合いそうで助かる。」

「そう思っていただけて幸いです。では、どんどん強くしていってください。」

「そんなのは言われなくてもわかってるわ! 連続で行くぞ!」

 そうして、宣言通り連続で魔法を飛ばしてきた。その上、徐々に火力を上げていって。
 40連発ほどして一度止まった。

「まじかよ、この年でここまで耐えられるとは思ってなかった。」

「そうでしたか。それにしても、あんな細かに出力を上げれるなんてすごいですね。私はそうゆうのは苦手なものなので。」

「さすがにそんなところで負けてたらここにいる立場がなくなってしまうよ。」

 こんなに軽々と話しているが、さっきの最後あたりは、強めの魔物ですら1発で倒せるような火力をしていた。
 普通の人がそれを見るだけで腰を抜かすレベルだろう。

「あと、ここからはペースを下げるよ。ここからは雑にやったら暴発しちゃうかもだし。」

「そうですか。」

 少し残念そうにロベルは言った。あの繊細な火力調節を見れなくなることにがっかりしてしまったからだ。隠そうとはしたものの。

「では行くよ。」

「はい!」

 そうして来たのは大抵の魔物ならオーバーキル気味で倒せる火力の魔法であった。

「一気に火力上げすぎ!」

「でも、余裕で耐えてるじゃないか。そもそも、あの時点で満点は確定だからね。いまはただの興味本位でやってるから火力を一気に上げてやるからね!」

「ひどいもんだな!」

 と言いつつも、自分自身ですらしっかりと結界魔法の耐久性を確認したことがなかったため、調査するいい機会と考えていた。

「じゃあ、次で最後にしよう。私の出せる最大火力で放つよ。」

「急ですね。」

「まあ、ここからの度合いの調整だと違いが分かりにくいからね。」

「確かにそうかも?」

 実際どれくらいの差があるかわからなかったから自信を持った発言をすることはできなかった。

「では、いきますよ。」

 そう言ってすぐに普段では見る機会すらない火力の魔法が飛んできた。
 ロベルはさすがにやばいかもと思いながらも魔法は結界に当たった。

「うっそでしょ。ドラゴンにだいぶダメージを与えられるくらいのかりょくだったんだけどなぁ。まじかぁ。」

 そう、傷一つ付いてなかったからだ。

 正直、ロベル自身もここまで持つとは思っていなかった。だからこそ、気になってしまった。

「すみません。ちょっと試してみてもいいですか?」

「え、あ、うん。出来るならやってみれば。」

 しっかりと意味も伝わり、少し離れた場所に移動したのを確認して、自分の結界に最大火力の魔法を当てる準備をし始めた。

「じゃあ、やってみますね。」

 少し声を張り、届くように言っていた。

「頑張ってみてください。」

 すこし落ち込んだ声で返してくれた。

 そうして、撃った魔法は結界にぶつかり、爆弾が爆発したかのような音が鳴り響き、結界は壊れた。

「さすがにだめかぁ。」

 そんな独り言を呟いていた。

 アーリアは先ほどの光景に絶望していた。あれが天才なんだなと思いながらロベルを見ていた。

「あの火力を出せるんだもんね。細かい調整が苦手っていうのは当然だよな。」

 など独り言を言いながら感情も壊れていった。

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