はる君来る
土曜日の朝。
そわそわしながら待っていると
「ふふ。そんなに緊張しなくても、はる君はちゃんと来ますよ」
とかず子が声をかけてきた。
ちっ。
余裕を見せつけてきたな。
いいさ。
そうやって余裕ぶっていられるのも今日までだ。
わしは、はる君のためにプレゼントを用意した。
これではる君の心を鷲掴みにして「おじいちゃんち」って言わせてみせる。
へっへっへ。
かず子め。
今に目に物見せてやる。
プレゼントを渡すシミュレーションを脳内で何回も繰り返していると、玄関のチャイムがなった。
来た!
孫が来たぞ!
ヒャッホーイ!
廊下をドタドタ踏み鳴らしながら玄関に向かうと、今まさにかず子が扉を開けるところだった。
「あそびにきたよー!」
開けられた扉の向こうには、例によって腕が千切れるんじゃないかと心配になるくらい勢いよく手を振ってくれるはる君がいた。
フォーッッ!
いや待て。
落ち着け。
喜ぶのははる君の「おじいちゃんち」を聞いてからだ。
ここは冷静にいこう。
「よく来たね」