どうして僕は、人間なのだろう。
ベランダと庭の先客の他にも、家の中には飼っている動物がいる。
尻尾をぶんぶん振ってよってくる愛犬、居場所から家の中に戻るだけで「おかえり!」と声をかけてくれるインコもいる。
人間ではない動物は良い。
人間と違って、目が穢れていない。
綺麗で澄んだ瞳である。
どうして僕は、穢れた汚い人間に生まれてしまったのだろうか。
願わくは僕も人間ではない動物に生まれたかった。
日に日に人間に嫌気がさしてきたそんな時、いつもと違う先客が庭にいた。
本物を見るのは初めてで、僕は目を凝らす。
「キツネじゃん……! すごい!」
思わず声が出た。
キツネは病気を持っていることもあるらしいと聞くので、遠くから見る。
キツネも僕に気付いたらしく、見つめてくれた。
写真や動画で見るそれとは違い、色は真っ白で、そのせいか神々しかった。