続き
黒い剣と赤い剣が火花を散らした
ざんげきが数十合打たれるとイエズラは言う
(お前のようなあまちやんに決して世界など救えぬ)
カオルは笑いながら言った
(ハッ、救えるかどうかすぐにわかるさ)
双方とも剣先が体を引き裂いたがいにも返さぬように打ち合った
カオルは憎しみを込めて言う
(アンタノせいで私は全てを奪われたんだ、
その責任を取りな)
イエズラも笑いながら言った
(フンッ、全てを失っただと、笑わせるな、
ゴミムシの命などかほどの価値も持たんわ)
二人の激突は徐々にカオルが優勢になってきた
魂をすいとる魔剣、ブラッドソード、その威力は絶大なものであり、少しずつイエズラの魂をすいとっていく
イエズラは苦悶に満ちた表情をしながら動きが鈍くなっていった
だが、それはカオルも同じことであった
この魔剣は高笑いしながら二人の命を削っていた
二人はボロボロになりながら動く
そしてイエズラの一瞬の隙をついて最後の一撃がハラワタに見事に突き刺された
(ぐふっ)
と言う声をあげながらイエズラの動きが止まった
カオルは勝ったと思った
心臓めがけて渾身の力でさそうとした時、突如、イエズラの体から白い光が溢れだし剣を弾いた
二人とも何が起きたのかわからないまま硬直した
イエズラは驚きながら叫ぶ
(なに、なんだこの光は)
するとイエズラの体から白い光が流れ出して人の姿に変容した
カオルは驚き体を震わせながら叫ぶ
(トシキ)
なんと光の正体はウエムラトシキその人であった
トシキは二人の間にたつと手で二人を制止ながら言った
(ここまでだ、二人とも、戦いは終わりだ)
カオルはサンジェルマンの言った話が本当だとわかると涙を流した
どうしてトシキがイエズラを助けるのかかいもく検討もつかないが助けるトシキを見て思わず心のそこから憎悪がわきだしていた
薄暗闇のなか静かに時が流れていく