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 朝食はたまたまお父様の仕事がひと段落したところらしく、家族3人一緒にとれることになった。お父様、お母様と食べるだけでも幸せな気分になる。でも浸っているわけにはいかない。まずはお父様の意識を変えていただかないと。

「お父様。私、ずーっとお父様と一緒にいたいからお嫁に行かずにこの家を継ぎたいの。」

「そうか。嬉しいよ。でもキャルの王子様が見つかったら、寂しいけれど嫁に行ってもいいからな。」

 お父様は、私には優しいけれど貴族としての常識を持ち合わせているので、手放しでは喜んでくれないようだ。

「では、私がこの家にとっても、私にとっても一番いい相手を見つけて来るまで、よそから婚約のお話が来ても受けないでね。」

「わかったよ。キャルはおませさんだなぁ。」

「本当ね。ちょっと前まで遊ぶ事ばかり考えていたのに、急にお姉さんになったわね。」

 そうお母様も笑顔になる。

 お姉さんにもなるわ。中身はお妃教育も卒なくこなしていた18歳なんだから。
  
 まずは婚約相手を見つけて来ることにしよう。

 私が8歳までに出会っている男の子は、フィリップ殿下以外には、マーサの息子で3歳上の男爵家次男のアレク、お父様の友人の伯爵令息のポール、それに嫌だけどグレアムの3人。あとそれほど親しくないけれどアレクのお兄さんのリックかなぁ。

 その中で一番は、アレクだよなぁ。私の初恋の人だもの。王子と婚約なんて状況になったから気持ちに蓋しちゃったから、淡い気持ちで終わったけれど。

 アレクなら次男だから婿入りオッケーのはずだし。

 そのアレクは、マーサがたまに私と同じ歳の娘メアリーを連れて来てくれる時に一緒に来て遊んでくれた。女の子と一緒じゃ嫌じゃないのか?不思議だったけれど、私たちのやりたい遊びにいつも付き合ってくれたのだ。

 そう言えばメアリーって《《ハワード》》男爵令嬢だわ。マーサの娘だけど向こうは私が処刑される事について何とも思っていなかったのかしら。聞いてみたかったけど、今のメアリーに聞いたって分からないし、同じ状況になるつもりもないから聞けずじまいだわ。少し残念。

 確かアレクは、私の婚約が決まったから男の子を側に置いてはいけないとマーサが連れて来てくれなくなったんだった。その後、王立アカデミーで薬草の研究者になってたはず。学校の成績も良かったみたいだし、侯爵家のお婿さんにぴったりよね。

 食後、読書をしたいと図書室に籠り処刑までの流れをメモしていく。フラグは折りまくらないとどこから処刑エンドになるかわからない。

 フィリップ殿下が好きな女の子と結婚したくなった時に邪魔者にならないようにするには、婚約者にならないことが大前提。頑張らないと…

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