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8話 再生

 日は過ぎ、彩は就職活動をしていた。
「彩、どう上手く行っている?」
「難しいね。男女平等って、本当なのかな。なんか女性だけ、落とされている気がするの私だけ。」
「どうだろうね。でも、頑張んないと。」

 そうこうしているうちに、とりあえず、彩は、社員数は少ないがIT企業の秘書に内定をもらった。そして、入社日が訪れた。

「彩さん、君のデスクはここ。当社は小さいから、なんでもやってもらうよ。まずは、これコピーしてきて。」
「はい。」
「それから、今日は、彩さんの歓迎会だから、でてね。」
「気を遣っていただき、申し訳ありません。もちろん、参加させていただきます。」

 その夜の歓迎会は、ひどいものだった。酔っ払った勢いで、彩の体を触る人もいるし、男達は脱いで全裸で踊る、そんな雰囲気だった。でも、彩は、愛想笑いしかできず、触られても、嫌と言うと、その場の雰囲気を壊すと思い、言い出せなかった。

[この会社、間違ったかな。でも、この人達以外にも社員はいるし、いい彼見つけて、すぐに辞めてしまおう。でも、結婚退社なんて、いつからそんなこと考えるようになったんだろう。女なんてめす豚で、穢らわしいとしか見えなくなっちゃった。でも、もう忘れてきたけど、私って、男だったんだよね。夢とかなかったけど、男の人に気に入られることばっかり考えて、話していても、いつも、嫌われないようにごまかして。自分で意見を言うのも忘れちゃった。ヘラヘラと愛想笑いばっかりして、本当に自分が嫌い。死んだ方が世の中のためかもね。]

[なんか、子供とかに興味ないし、これから楽しいことなんてあるんだろうか。誰かと結婚しても、家を出ることなく、旦那の奴隷になっていくのかしら。私、何もできることないし、なんのために、ここにいるの。私って、ダメな人。周りの人も、誰も幸せにできていない。理恵だって、涼さんだって、みんな私から離れて行ってしまう。それは私がダメな人だから。それでいて、いつも男の人に大事にされたいって。本当に矛盾してる。そんな資格ないのに。だめ、だめ、だめ。こんな私だから、みんな、私のこと嫌いなんだわ。私のこと思ってくれる人、1人もこの世の中にいないんだ。親も、きっと私のこと嫌いだったんだ。だから、東京の大学の寮に入れて、せいせいしていたに違いない。きっとそうだ。私は、大学でも、みんなから嫌われていた。そう、何もできないし、へつらうだけで、生きる価値がない人だから。]

そんな気分のままフラフラとしている時、正面から車のライトがひかり、彩は轢かれてしまった。即死だった。

「あれ、なんか眩しい。ここ、どこだろう?」
ぼやっと周りが見えてきたが、なんか、巨大なダンボールの中のように見える。
そこに、巨大な女の子が覗いてきた。

「あれ、可愛いワンちゃんだ。お母さん、飼っていいよね?」
「あら、本当に、可愛いワンちゃん。美奈にも、そろそろ何かペットとかと思っていたから、ちょうどいいかもね。でも、捨て犬みたいだから、まずは保健所とかで調べてもらわないと。」
「ワン(これはなんなんだー)」

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