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7話 失恋

「彩、最近、ちょっと私に冷たくない?」
「そんなことないけど、この機会だからいうけど、なんか、ちょっと、女性とエッチするの、気持ち悪いって思うようになっちゃったんだよね。ごめん。理恵が嫌いとかじゃないよ。」
「そうなんだ。仕方がないね。寂しけど、別の人探すしかないな。」
「本当にごめん。」
「たぶん、初めての経験で、興味があっただけなんだよ。でも、ごく普通のことだし。好きな人できたの?」
「好きな人というのはまだなんだけど。」
「じゃあ、エッチはやめるけど、時々は、一緒にショッピングとか付き合ってね。」
「わかった。」

[最近は、本当に、体だけじゃなく心も女になっちゃった。女の裸とか見ても、ワクワクしないし、なんかかっこいい男性がいると、目で追っちゃう。なんか、素敵な彼に優しくしてもらいたいって、気付くと想像している。体も、生理があるから女性ホルモンとかいっぱい出ているのかな。生理が明けると、どうしてもエッチしたくなっちゃって、寮じゃできないから、気づくと、デパートのトイレとかで、自分でやっちゃう。止められない。そんな時に、私を抱いてって、これは性依存症なの? 私のこといっぱい聞いてくれて、いつも優しくしてくれる彼が欲しい。]

 そんな時、合コンで出会った男性と恋が始まった。彼は、落ち着いていて、大人で、どんな話しをしても、そうだね、そうだねと聞いてくれた。親がお金持ちらしくて、スポーツカーで、海辺とかに連れて行ってくれたり、いつも、新しいことが経験できて、本当に好きになった。

 ただ、ある時、彩は、道端で、彼が女性と一緒に歩いているのを見かけた。その時、彩の目は吊り上がっていた。
[誰、あの女。少し、後をついて行ってみよう。あれ、今度は別の男性と歩いている。あの女、男っていえば見境もなく近寄って、人の男を奪っていく、メス狐だわ。あんな女は彼にはふさわしくない。写真撮って、本当の姿を彼に見せつけてやる。]

「涼さん、この間、この女性と一緒にいたでしょう。この人と会うのやめた方がいいわよ。この人、この写真の通り、涼さんと別れたすぐ後に別の男性と一緒に歩いていたし、なんか、お水の商売している人っていう噂聞いたし。やめといた方がいい。」
「水商売っていうのは誰から聞いたの。」
「それは、誰だったかな。」
「それは違うよ。彼女は、今、仕掛けているビジネスのお客さまとして狙っている会社の社長だ。若いけど、実績もあり、しっかりとしたビジネスウーマンだ。どうして、そんなゲスなことを言うんだい。」
「あなたにふさわしくないと思ったから。」
「彩、君はそんな人だったのか? 残念だ。」
「いや、私は間違っていない。嫌いにならないで。」
「少し、距離を置いてお互いに冷静になった方がいいね。」
「待って。」

そんなやりとりの後、彼とは連絡が取れなくなってしまった。
[いつの間にか、嫌いだった女性の言動そのものをしてしまっている。どうしてなの。]

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