第7話 特別な桃
こちら一話目です。よろしくお願いします。
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〖あなたの、お孫さんだよ〗
目の前に立つ美しい神様から伝えられた信じられない
言葉⋯
涙が止まらない。
本当に、本当に孫が生きている?
〖話が長くなるけど、いいかな?こちらに来て座って話そう。僕もちょっと落ち着きたいしね。起きられるかな?〗
主神様がいつの間にかセッティングされたテーブルに招く。テーブルの上にはお茶と、軽い食事が用意されていた。
〖料理長がね『まずは消化にいいものからにしろっ』て、でもね?好みが分からないでしょ?少しずつ色々用意したから、食べられそうなものからどうぞって。あ、でもね?〗
コンコンコン
〖あ、来たみたいだね。入ってもらっていいかな?〗
『あ、はい。どうぞ』ぐし
慌てて涙を袖で拭う
〖どうぞ。入って〗
『失礼するのじゃ。彼女が目覚めたと聞き、参ったのじゃ。妾の仙桃を持ってきた故、これをまず食してもらおうと思うての』
入っていらした人物を見て驚いた。
あらあらまあまあ~中華風のお姫様だわ。なんて美しいの!まさに蝶よ花よ!を体現しているわ!ああ、額に入れて飾って毎日愛でたい尊さだわ!
『な?な?何を言うておるのじゃ?め、愛で?尊い!?』ビクッ
あ、あらあら?私もしかして口に出してたかしら?
あらあらまあまあ、嫌ねぇ?おほほほほ
〖ぷっ〗
え?笑われた?
〖あはっあははははっ〗
な、何?何かしら?私そんなに何か言ったかしら?
〖あはははっひぃ~⋯ぶふっ、ご、ごめんごめん。さ、さすがあの子のおばあちゃんだと思って!そっくりだね~ぶふっぐふっ〗
主神様、お腹抱えて涙流して吹き出しながら謝られても⋯それよりあの子にそっくりって?
『こほんっ。主神様、レディに対して失礼であろ?それにまだ身支度もまだではないか。これだから男子(おのこ)は⋯』はぁ~
あ、中華風美人さんが気づいたら隣に。
『妾がまずは彼女の身支度を整えます故、一度部屋を出てたも。ほれ、早う!』しっしっ!
中華風美人さんが私の肩を抱いて主神様を追い出してるわ。主神様って偉いのよね?大丈夫なのかしら?
それにしても⋯はぁ~、腕にあたるお胸が、なんて羨まけしからん物をお持ちなの!
『なっ?』ぱっ
あら?なんで離れちゃうのかしら?
〖ぷっくく、やっぱりあの子のおばあちゃんなんだね。ふふ。分かったよ、用意できたら呼んでね〗
『分かっているのじゃ!』
〖はいはい。じゃあよろしくね、天界樹ちゃん〗ぱたん
主神様は本当に出ていかれた。
『まったく。着替えの前に、ほれ、まずは一切れ食べるのじゃ。妾の桃は美味しいぞよ』
わあ~不思議!お皿の上で勝手に一口サイズに!皮まで剥けてるわ!
『ほれ、今は行儀など気にしている場合ではないのじゃ。お主は長いこと寝たきりだったのじゃ。自分が思うより体は弱ってるはずなのじゃ。だから、妾の特別よく出来た桃を妾自ら選んできたのえ。早う食べるのじゃ!』
えいっ!
と、口の中に入れられた桃は⋯
『お、美味しい⋯っ』
な、なにこのもの凄く瑞々しい桃!とろける甘さ!噛んだ記憶が無いのに口の中から消えちゃったわ!なんて勿体ない!
『そうであろ?ほれ、もっと食べるのじゃ』
ぽいぽいっ
『んぐっ!』
ま、またっ!でも美味しい!何だか体が楽になった気がするくらいだわ!
ぽいっ
あ、また?もう半分食べちゃったじゃない。もっと味わいたいのに!じゅるっ
『当然じゃ!妾の桃え?妾の桃は仙桃と言うての?地上では一口食べれば傷が治り、二口食べればどんな病でも治し、三口食べれば寿命が伸びるなどと言われ、下手すれば戦の種にもなる桃ぞ?そんじょそこらの桃と一緒にされては困るのじゃ!』ふふんっ
『え、えええ?』
せ、仙桃って、神話の中だけのものじゃないの?
『何を言っておるのじゃ?ここは天界。神々が暮らす地ぞ?さっきまでお主が話しておったのは主神ではないか』
そ、そんなこと言われてもっ、話についていけない。ん?三口食べれば?私、み、三口どころか⋯?
『お主は既にこの世界に生まれ変わった折り、体が作り変えられておるのえ?今更仙桃の一つや二つ食した所で寿命は変わらぬぞよ。それより体の調子はどうえ?動けるかの?』
気遣わしげに聞いてくれてるけど、その前に聴き逃しちゃいけないことがあったような?
『は、はい。体は楽になりました』
『それは上々。なれば』ぱんっ
『え、えええええ?』
手を叩いたら、急に女性たちが?て、天女?
『妾の使いじゃ。そなたの支度を整えてくれる故、安心してたも。ああ、自己紹介がまだまだったの?妾は天界樹の精じゃ。よろしくの』にこっ
『は、はい⋯』くらり
よ、妖艶な笑顔、頂きました!
こうして私の天界ライフの幕が開けたのだった。
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