【二十四】高等部二年の学期末
――高等部も二年になると、運命の探偵が決まりバディを組む助手が増え始める。
僕の周囲でも、最近であれば、日向が御堂さんという探偵と引き合わせられた。最近、といっても、それはもう昨年の事で、高等部の二年生になっても、一人なのは、僕だけだというのが実情だ。
試験結果を見る。僕は今回も、学年首席だった。けれど紙や実技の成績が良好だからといって、運命の探偵と出会えるわけではない。
「……」
そもそも、本当にそんな相手は存在するのだろうか?
最近の僕は、懐疑的だ。
助手としての教育しか受けてこなかったから、将来への不安もあり、誰とも出会えなかった時に備えて、最近の僕は勉強に打ち込んでいる。
本日同時に返却された全国模試の結果を見る。僕は、そちらでは二位だった。
上位三百名は名前が開示される模試だったのだが、一位の欄に踊るのは、今回も山縣正臣という名前である。
僕は山縣の顔を知っている。
いいや、有名な高校生探偵、しかも日本にたった五人しかいないSランク探偵の顔を、一度もメディアで見た事のない人間の方が少ないだろう。
五人の内の二人、山縣忠臣と階田透子というSランク探偵二名の一人息子であり、有名な探偵才能児だ。
山階探偵学園に通っているらしい。だが事件への捜査協力依頼が後を絶たないため、あまり通学はしていないそうだ。
これは、日向から聞いた。
日向の運命の探偵が、同じクラスなのだという。
「山縣の助手、どんな人なんだろうね。なってみたいよ、俺も」
日向がそんな事を言って笑っていた事がある。
僕としては、既に御堂さんが見つかっているだけで、日向が羨ましかった。
そしてそれを日向はよく分かっているようだった。
「まぁ、御堂はとても優れた探偵だけどね。俺にふさわしいよ。どこかの誰かと違って、やっぱり俺には実力があるから、御堂と引き合わせてもらえたのかな。運命ってよく見てるよねぇ」
最近の日向は、僕にあからさまな嫌味を言う。
僕はいつも聞き流していた。
元々日向は僕をライバル視していたのだが、僕に探偵が見つからないものだから、最近気をよくしているらしい。